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セッション9

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「北米一恐ろしい廃墟」といわれるダンバース州立精神病院を舞台に、アスベスト除去にやってきた5人の男たちに襲いかかる恐怖を描く。

【STORY】
1985年に閉鎖されて以来、廃墟と化したダンバース州立精神病院。この建物が公共施設として改修されることになり、アスベスト除去のために5人の男が訪れる。彼らは高額の報酬の代わりに、1週間という短い期間での作業を強いられる。作業中に古い診療記録を見つけたマイクは、メアリーという名の多重人格障害の女性に興味を抱き、診療(セッション)の記録テープを聴く。そして最後のテープ、9番目の診療(セッション)が再生されようとしていた時、彼らに戦慄の事態が起ころうとしていた…

【REVIEW】
今年のはじめ「nupxl」というサイトが「20 Scariest Ghost Movies」(もっとも怖い恐怖映画ベスト20)を発表し、そこで見事3位に選ばれた作品である。
ちなみに1位は『シャイニング』、2位は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』である。ふーむ。

舞台はアメリカ・マサチューセッツ州にあるダンバース州立精神病院。実在した病院である。
この病院は1871年に建設、かつては2400人が収容され、非人道的な治療が行われていたことで有名。現在は禁止されている、脳の前頭葉を切断して患者の精神を安定させるロボトミー手術もここで確立したという説もあるらしい。ちなみに、ロボトミーを考案した医師はノーベル生理学・医学賞を受賞している。へー、へー、へー。
しかもこの地はかつてセイラム村と呼ばれ、セイラム魔女裁判で多数の犠牲者を出した場所でもあるらしい。いわゆる魔女狩りである。
さらにさらに、クトゥルー神話に出てくる架空の都市アーカムのモデルともいわれているのである。
そんないわくつきのエピソード満載のこの病院は、1985年に閉鎖された後、「北米一恐ろしい廃墟」といわれ、全米の廃墟オタクの聖地とまで呼ばれたらしい。残念ながら2006年に中央部の外壁部分を残してすべて解体され、跡地は住宅地として整備されている。住宅地となった今の状況はgoogleマップで見ることができるので暇な人は探してみよう。

そんな場所をロケ地にしてしまったこの作品。
(現実では解体されたが)この病院を公共施設にするために改修することになり、アスベスト除去のために集められた5人の男たち。リーダー格はゴードン。高額の報酬と引き替えに、2週間かかるはずの工事期間をわずか1週間で行う条件を飲んでしまう。娘が感染症を患い、お金が必要なようだ。

工事が始まり、通常の半分しか時間がないアスベスト除去チーム。だがしかし意外にのんびりしている。無駄話をはじめたり、よそ事をしている。
なかでも弁護士志望というマイク。ブレーカーが落ちたので様子を見に行くと、偶然にも診療記録テープが入った箱を発見。患者は診療ナンバー444のメアリーという女性。どうやら多重人格障害らしい。興味を持ったマイクは、急がなければならない仕事を放り出しテープに収められた診療(セッション)の記録を聞き始めるのである。もちろん診療(セッション)記録テープは9本。
また、フィルの彼女を奪ったキャラのハンクは、死体安置所の壁の中から大量の硬貨を発見。早々に仕事を放棄し、海外旅行に行ってしまう。

有毒物質を扱う危険な作業と時間に追われる緊張感の中、メンバーたちの間には徐々に不協和音が。
特にイライラが募るのはリーダーのゴードン。家族の問題も絡めて作品中盤から徐々に精神が不安定になっていく。
意見の衝突、疑心暗鬼、アスベストによる癌の恐怖、暗所恐怖症などなど、各メンバーの精神も徐々に正常な状態からかけ離れていくのである。

そして今までに起こった不可解な出来事とその解明がラストに一気に集約される。


以下結末に触れるので注意してほしい。


大金を発見して早々にトンズラこいたはずのハンクがなぜか地下トンネルに。体操座りをして何やらブツブツ言っている。フィルが話を聞いたところ、ゴードンにやられたと話す。
ちなみに後からわかるが、かけていたサングラスを外すと目にはアイスピックが刺さっている。これは劇中で解説されるが、アイスピック療法というこの病院でも行われていたショック療法で、目の縁からアイスピックを刺し脳を刺激することで患者をおとなしくさせるらしい。先端恐怖症の人にはたまらない治療法である。

一方、診療(セッション)記録テープを聞き続けているマイク。9本目(セッション9)に差し掛かっている。どうやらメアリーの人格の中の1人であるサイモンが誰かを殺したらしい。テープはそこで終了。このテープは何を意味するのか?

そしてゴードン。劇中何度も自宅の前に車を停めて家の入口を見つめるシーン。なぜ自宅へ帰らないのか。そして携帯電話で妻に何度も謝っている。
しかしゴードンは妻が鍋をひっくり返し、それに腹を立てて子どもとともに殺してしまっていた事が明らかに。ゴードンは電話に出るはずもない妻に電話し謝っていたのである。

完全に気が触れているゴードン。何かに怯えるように次々とメンバーを殺していく。結局狂気にとりつかれたのはゴードンだけだったのか?
セッション9のテープによると、メアリーの中にいた殺人者の人格サイモンは、弱い心や傷ついた心の中にいるようで、誰の中にも存在する可能性があるらしい。ゴードンは、ただ精神が崩壊したのではなく、サイモンになってしまったのである。

廃墟となった病院が放つ狂気に徐々に取り込まれていくメンバー。誰が異常で、誰が正常なのかわからない展開。病院からしてみれば、ここに侵入した人物はすべて患者と見なすようだ。いくつもの伏線がいくつもの可能性を想定させるストーリーはなかなか見応えがある。
同時進行で進んでいた診療テープは、直接メンバーとは関係がなかったようだが、ゴードンが最後に取った行動の補足的な役割か。
また、全編にわたって神経に訴えかけるような不気味なノイズのような効果音がなかなかよい。恐怖感が高まる。
このじわじわ来る恐怖感は、実際に観て、聞いて、感じてほしい。

最後に特筆すべきはDVDの特典映像。未公開シーンともうひとつの結末を観ることができる。そこには謎のおばはんが登場しており、メンバーが病院の狂気に取り込まれていく様子を度々傍観している。あのおばはんは誰なのか?作品の冒頭で閉鎖となった病院に帰って来る患者がいるというセリフがあったが、その患者の1人なのだろうか?しかもこのおばはんは、最後にゴードンを殺してしまうのである。
こっちのが衝撃的結末。

確かにおもしろかったが、さすがに3位は評価されすぎでは…。
順位に不満がある人は、グルっぽ「ホラー映画評議会」で現在行われているホラー映画ランキングに自身の考えるランキングを投票してほしい。
最後は宣伝っぽくなってしまったが。てへ。


【MARKING】
オススメ度:★★★★★★★7
えげつない度:★★★★★5
グレイグが一番かわいそう度:★★★★★★★7
禍々しい度:★★★★★★6

【INFORMATION】
・原題:SESSION 9
・製作年:2002年
・製作国:アメリカ
・監督:ブラッド・アンダーソン
・製作:ドロシー・オーフィエロ、デヴィッド・コリンズ、マイケル・ウィリアムズ
・製作総指揮:ジョン・スロス
・脚本:ブラッド・アンダーソン、スティーヴン・ジェヴェドン
・出演:デヴィッド・カルーソー、スティーヴン・ジェヴェドン、ポール・ギルフォイル、ジョシュ・ルーカス、ピーター・ミュラン、ブレンダン・セクストン三世

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