病院で起きた奇怪な事件を追って、謎の島に行き着いた主人公たちが食人族やゾンビ、マッドサイエンティストに遭遇する恐怖を描いた作品。

【STORY】
とある病院の死体安置室で、死体を食べていた職員が捕まり、直後に自殺する。その事件に居合わせた女医のローリーとその相談に乗った人類学者のピーター・チャンドラー博士、彼の助手と女友達スーザンの4人は事件の調査のため、犯人の出身地である孤島を訪れる。現地では、ピーターの知人であるオブレロ博士が迎え入れてくれる。しかし彼らはジャングルの奥地で食人族やゾンビに襲われ、黒幕のドクター・ブッチャーも現れる…。

【REVIEW】
インパクトのあるタイトル、かの名作『サンゲリア』のセットと俳優を使いまわしたやっつけ感、そのわりにえげつないシーンのクオリティーは高いとして、一部カルト的な人気を誇る珍作である。
主人公を演じるのは『サンゲリア』の新聞記者ピーターを演じたイアン・マカロック。今回は学者ピーターである。

ニューヨークのとある病院。死体安置室の死体の一部が何者かによって持ち去られるという事件が続発する。
犯人は病院スタッフの男。心臓を頬張ろうとしたところで御用。彼はすかさず窓から飛び降り、自殺。彼の胸には謎のマークが刻印されており、死に際に「キートー」という言葉を残す。
「キートー」とは東南アジアの古代の言葉で、神聖な島の名前らしい。この犯人は東南アジアのモルッカ諸島の出身であった。そしてこの地域には食人の習慣があるらしい。この段階で食人のことバラしちゃっていいのかな？
事件の調査をすべく女医のローリーは、知人の学者ピーターに相談。モルッカ諸島を訪れることに。メンバーはこの2人とピーターの助手ジョージ、そして記者のスーザンの4人。

たどり着いたとある島では、ピーターの知人のオブレロ博士が迎えてくれる。そしてその島から問題のキートーという島へ向かう一行。まるで『サンゲリア』の世界観がそのまま移行したような状況である。
ちょっとしたハプニングを経由してキートーに着く一行。しかし挨拶代わりに同行していた現地ガイドの一人が襲われ死亡。一行はオブレロ博士に助けを求める。オブレロ博士は5km先のは硫黄へ向かうように指示。そこに救援を寄こすらしい。

廃屋に向かうためジャングルを進む一行。そして食人族に集団で襲われる一行。いよいよお陀仏かというところで、ゾンビ風の男たちが登場。すると血相変えて逃げていく食人族たち。何が起こったのか？

廃屋にたどり着くことができたのは、ピーター、ローリー、現地ガイド（死んだのとは別の人）。そこにはオブレロ博士が待っていた。
彼は、夜になると悪夢が起こるので早めに帰れと一行に告げる。ピーターたちはさっそく用意されたゴムボートに乗って帰ろうとする。しかしピーターは気になることがあって廃屋に引き返すことに。
その廃屋では、まんまとオブレロ博士が忌まわしい人体実験を行っていたのである。そう、オブレロ博士がドクター・ブッチャーだったのである！誰もそう呼んでないけど。
実験台の上に寝かされているのは、道中ではくれたスーザン。なぜか別の男の脳とスーザンの脳を入れ替えようとしている。
どうやらドクター・ブッチャーは、いつまでも生き続ける生物、すなわちゾンビを生み出す研究をしていた。さきほど食人族を蹴散らした男たちは、その実験台にされた人々だった。

捕まるピーター。彼も実験台に。丁寧な説明をしながら手術を行うドクター・ブッチャー。だがしかし、こっそりメスを入手していたピーターは拘束を解き脱出。ランプを投げつけて廃屋に火をつける。

一方、食人族たちに捕まっていたローリー。裸で磔にされ、ボディペインティングされている。このシーンはこの作品最大の見せ場ともいえる。ある意味手に汗握る展開である。そしてボディペインティングされたローリーは、なぜか食人族の女王的ポジションに祭り上げられる。
ローリーは食人族を率いてドクター・ブッチャーの廃屋へ。ちょうど廃屋に火がついた頃、いっせいになだれ込みドクター・ブッチャーを遅う。
ピーターとローリーは無事に逃げ出すのである。おしまい。

やたら作り込まれた内臓や目玉取り出し、船のスクリューによるゾンビへの攻撃など、えげつないシーン満載。
そして暇さえあればセクシーシーンを披露するローリーと、見どころは多数。
ストーリーのことは気にせず、これらのシーンを単純に楽しむことを強くオススメしたい。

●関連作品・記事
サンゲリア

【MARKING】
オススメ度：★★★★4
えげつない度：★★★★★★★★8
裸えげつない度：★★★★★★★★8
禍々しい度：★★★★★★6

【INFORMATION】
・原題：DOCTOR BUTCHER M.D.、ZOMBI HOLOCAUST、QUEEN OF THE CANNINBALS、LA REGINA DEI CANNIBALI
・製作年：1981年
・製作国：アメリカ、イタリア
・監督：フランク・マーチン
・製作：テリー・リヴェイン、ジャンフランコ・クーユームジャン、ファブリッツィオ・デ・アンジェリス
・製作総指揮：ロイ・ハーヴェイ
・脚本：フランク・マーチン
・出演：イアン・マカロック、アレクサンドラ・コール、ドナルド・オブライエン、シェリー・ブキャナン、ピーター・オニール

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森に住む畸形の人食い兄弟「マウンテンマン」との攻防を描いて大ヒットを記録したスプラッター作品『クライモリ』の第5弾。監督は3作目『クライモリ　デッド・リターン』、４作目『クライモリ　デッド・ビギニング』と同じくデクラン・オブライエン。

【STORY】
フェアレイクという小さな町で行われるハロウィンパーティー「マウンテンマン音楽祭」。そこへ向かう5人の若者は、道中の参道に佇む男を避けて車を木に激突させてしまう。若者たちと男はケンカになるが、そこに通りかかった保安官に、若者たちはドラッグ所持、男は過去の連続殺人容疑で拘置所に入れられる。その男と行動を共にしていたマウンテンマンたちが、男を救出するために拘置所へ現れるが…。

【REVIEW】
なんだかんだで5作目のこのシリーズ。
今回の舞台はフェアレイクという小さな町。ここではハロウィンに「マウンテンマン音楽祭」なるイベントが行われていた。

まずは現地を訪れたテレビ局の女性リポーター。空き時間に山へジョギングに。そこへ現れたのがおなじみのメンバー。レポーター惨殺。いつもの3人に加えてもう1人いるようだ。実はこの1人、見た目はまともそうだが30年以上も殺人を繰り返している悪党。マウンテンマンたちを匿い、ボス格として君臨していたのである。

一方、音楽祭を楽しもうとやってきた男3人・女2人の若者たち。山道で前述のボス格の男を避けて、車を木に激突させる。車は当たってないはずなのに倒れているボス格の男。様子を見に行く若者たちに切りかかる。反撃する若者。そこへ女性保安官と保安官補佐が通りかかる。若者の車からドラッグを発見。身柄を拘束。そしてなぜかボス格の男も拘束。悪名高き男だったようだ。
若者たちとボス格の男は拘置所に連行される。

そして、現場で待機していた保安官補佐の前に、一連の様子を見ていたマウンテンマンたち登場。弓による攻撃で惨殺。

場面変わって、ブタ箱に入れられた5人の若者たちとボス格の男。ここで若者の中の主役級の男ビリーが、車で見つかったドラッグは全部自分のものと訴える。他の4人は、あっさり釈放。
4人は音楽祭が行われている町へ。町の人々はバケモノとかのハロウィンの変装。よって、町の中にマウンテンマンが現れても怪しまれない仕組みである。

そしてマウンテンマン来襲。ボス格の男を救出に来たようだ。
まずは携帯電波塔を破壊、そして変電所？を襲撃し、町は停電に。はい、はじまった。

一方、ビリーが拘束中でテンションが下がり、モーテルでぐだぐだしている若者4人。ビリーの恋人クルーズは、ビリーに夕食を届けようと拘置所へ向かう。ところがその道中でマウンテンマンに襲われアウト。内蔵を取り出され、それを食べさせられるという手法。
その後、人数あわせのためか、若者の一人ジュリアンが暇だからという理由で拘置所へ向かう。

モーテルに残ったのはリタとガスのカップル。マウンテンマンが襲撃。ガスを連れ去り、拘置所の前まで運び、車で轢くという手法。見せつけてくれる。
ただ事ではないと感じ取った女性保安官は、ビリーと、同じく豚箱に入れられていた酔っ払い、そして合流したジュリアンに銃を持たせ反撃の構え。
いとも簡単に銃を持たせる銃社会に喝。

だがしかし、あっさりとマウンテンマンに捕まるビリーとジュリアン。サッカー場へ連行され、ビリーは頭を残して埋められ、ジュリアンは鎖でつながれる。そこへ巨大な芝刈りマシーンが登場。2人とも見事に刈り殺される。主役級のビリーあっさり死亡。そして、この時点で男が全員死亡という異常事態。

モーテルでさりげなく生き延びていたリタ。拘置所に来たリタは、いまだブタ箱の中にいたボス格の男の巧みな話術で檻の鍵を開けてしまう。
「出してくれれば危害は加えない」というフラッグ通り、危害を加えられるリタ。両目を付かれて失明。しかし命からがら逃げ去る。

残るは拘置所の女性保安官。しかし捕まる。ブタ箱の檻に結び付けられ、ガソリンをまかれる。さらには、足を降ろせば銃の引き金が引かれ、自分自身の頭に命中する仕掛けを施され、火をつけられる。
熱さに耐えられなくなった女性保安官、仕掛けの銃発砲でアウト。

失明した状態で、夜道をさまようリタ。そこへ1台の車が通りかかる。助けを求めるリタ。しかしその車は、ひと仕事終えたマウンテンマン一行の車だったのである。哀れ、連れ去られるリタ。今後のリタの運命は、心中察して余りある状況である。おしまい。

ちょっとしたロケ撮影以外は、ほとんど町の一角のようなセットでの展開で、おそろしく世界観が狭い。
何よりも、「クライモリ（暗い森）」ではない。前作もどっちかといったら「クライモリ」よりも「シロイユキ」だったが、今回は「セマイマチ」である。
さらに今回は、マウンテンマンよりもボス格の男の残忍さが際立っていて、らしさがない。
そして、シリーズの時間軸がよくわからない。マウンテンマンが登場する一話完結のパラレルワールドなのだろうか。

とにかくこんな感じで、いくらでも量産できてしまうシリーズになってしまったのである。


●関連作品・記事
『クライモリ』
『クライモリ　デッドエンド』
『クライモリ　デッド・リターン』
『クライモリ　デッド・ビギニング』

【MARKING】
オススメ度：★★★3
えげつない度：★★★★★★★7
でも観てしまう度：★★★★★★6
禍々しい度：★★★3

【INFORMATION】
・原題：WRONG TURN 5: BLOODLINES
・製作年：2012年
・製作国：アメリカ
・監督：デクラン・オブライエン
・脚本：デクラン・オブライエン
・キャラクター創造：アラン・マッケルロイ
・出演：カミラ・アーフウェドソン、ロクサンヌ・マッキー、ダグ・ブラッドレイ、サイモン・ギンティ、オリヴァー・ホーア、エイミー・レノックス

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伝説のモンスターが世界中から集結し、トーナメント戦を行うコメディ・ホラー作品。

【STORY】
アメリカ・ミシガン州のヒルサイド共同墓地で世界最強のモンスターを決めるトーナメントが開催される。集結したのは8体のモンスター。いずれも伝説的なモンスターだが、科学が発達した現代においてそれぞれ不遇の時を過ごしていた…。

【REVIEW】
この映画を存分に楽しむためには、プロレス、それもアメリカンプロレスの知識および好みが必要となる。
モンスターなのに戦い方がしょぼい、戦ってるだけでストーリーがつまらない、などの批判的意見が飛び出すのも上記の理由からと考えられる。

それもそのはず、この作品はアメリカのプロレス団体WEWのTVショーを、そのまま登場人物をモンスターに置き換えて作ったようなもの。いわばコスプレプロレス。プロレス的な戦い方やプロレスファンを喜ばせるようなマニアックな演出が随所に放り込まれているため、プロレスのノリに慣れていないと楽しめないかもしれないのである。

さてストーリー。
ヒルサイド共同墓地で開催されるトーナメントには、アンデッドとクリーチャーの2団体が参戦。団体といっている時点ですでにプロレスなのだが。
各団体から4体ずつ。計8体のモンスターがミドル級とヘビー級に分かれて戦いを繰り広げるのである。

参戦するクリーチャーは下記の通り。
＜アンデッド＞
ミイラ男、レディヴァンパイア、ゾンビマン、フランケンシュタイン（の怪物）

＜クリーチャー＞
サイクロプス（ギリシャ神話に登場する一つ目巨人）、ウィッチビッチ（魔女）、スワンプガット（沼男？）、狼男

対戦表は下記の通り。
＜ミドル級＞
（1）サイクロプスVSウィッチビッチ
（2）ミイラ男VSレディヴァンパイア
＜ヘビー級＞
（3）スワンプガットVS狼男
（4）フランケンシュタインVSゾンビマン
（3）（4）の勝者で決勝戦、ミドル級はなぜか決勝戦は無い。

試合会場には実況席もある。そしてプロモーターや共同墓地管理人のイマイチのトークが繰り広げられる。
ここで、やたら派手なおっさん、ジミー・ハートが本人役で登場。「南部のおしゃべり男（Mouth of the South）」ことジミー・ハートとは、アメリカンプロレスの名物マネージャーで、ハルク・ホーガンの横で拡声器を使ってひたすら叫び続けていたことでおなじみの人物である。
ジミー・ハートは、今回はリンングアナのような役割らしい。

次に登場したのがレフェリー。これまた本人役でハーブ・ディーンが登場。こちらは、アメリカの総合格闘技イベント・UFCのレフェリーとして有名なおっさんである。

そんな、知る人ぞ知る豪華キャストではじまる戦い。
ルール無し、時間制限無し、ギブアップ無し、どちらかが死ぬまで戦わなければならない、文字通りのデスマッチ。

第1試合。
モンスターの入場前には、プロレスや日本の総合格闘技のように、モンスター自身の紹介や参戦するまでのいきさつ、意気込みなどの、いわゆる「煽りVTR」が流される。
ちなみにサイクロプスは招待状を受け取って「時は満ちたな」とつぶやく。橋本真也？
対するは、近所から迫害を受けていることを見返すため参戦を決意するウィッチビッチ。
開始早々、名レフェリーハーブ・ディーンがウィッチビッチに刃物で首を切られ死亡。ぷぷっ。
試合はサイクロプスが目からのレーザービーム攻撃で勝利。決して『X-MEN』ではない。さらにビル・ゴールドバーグの決め台詞「You next！」と叫ぶのである。

第2試合。
メトロポリタン美術館に搬送された木箱から復活したミイラ男（中身はカフラ王）。
対するは、トランシルバニアの不死の種族の最後の生き残りレディヴァンパイア。不死の種族なのに最後の一人？いかにもプロレスらしいギミック。
序盤はミイラ男が優位で、砂漠の砂による目つぶし攻撃、一緒に木箱に収められていた宝飾による光線攻撃。苦しむレディヴァンパイアだが、何とか耐えて墓石攻撃からの心臓わし掴み攻撃で勝利。

第3試合。
愛する妻を殺された復讐で狼男をやっつけた男が、噛まれた影響で自ら狼男になってしまった狼男。ややこしい。
対するは、全身が苔のようなものに覆われ、毒ガススライム攻撃で釣り人を惨殺するスワンプガット。これ伝説のモンスターかな？
スワンプガットの毒ガススライム攻撃をかわした狼男が一方的な攻撃。コーナーポストからのムーンサルトプレスで勝利。奇しくもこの日は満月であった。

第4試合。
ピッツバーグで兵器として10年間訓練されたゾンビマン。ピッツバーグはいわずとしれたロメロ御大の地元。そしてゾンビマンを訓練しているのは、プロレス団体WCWでハルク・ホーガンとともにNOWを立ち上げ一世風靡したケヴィン・ナッシュ。実物見たことあるけどめちゃくちゃ大きかった。ナッシュ演じるクロックシャンク大佐はゾンビマンのセコンドとして会場に登場。
対するは、おなじみの電気の実験で誕生したフランケンシュタイン。創造主のイゴーラ博士がセコンドに付く。
開始早々、両者のセコンドが乱入。大佐が博士を殺したため、フランケンシュタイン激怒。場外戦でゾンビマンにのど輪落としからの頭部破壊で勝利。
ゾンビマンの敗北を機に、会場である墓地から大量のゾンビが発生。逃げるジミー・ハート。大佐噛まれる。解説者も噛まれる。

混乱の中、第3試合の勝者・狼男と第4試合の勝者・フランケンシュタインによる決勝戦。
なかなかの激戦。狼男が遠吠えからの足四の字固め。リック・フレアー？
しかし腕力に勝るフランケンシュタインが壮絶な場外戦の末、狼男の頭を2つに裂いて勝利。

そしてクライマックス。
ゾンビに噛まれていた大佐がゾンビで復活。チャンピオンベルトを抱えたフランケンシュタインの前に立ちはだかる。ケヴィン・ナッシュも相当でかいので、なかなか絵になっている。
そしてお互いが殴りかかろうとするところで、おしまい。

エンドロール後、ジミー・ハートが携帯電話で誰かと話している。どうやら襲ってきたゾンビの悪口のようだ。そこへ後ろから近づくゾンビ。やられておしまい。「志村後ろ！の法則」発動である。

どうやらこの監督は相当なプロレス好きで、日本のデスマッチも大好きらしい。随所に放り込まれた演出は非常にマニアック。もちろんホラー映画へのオマージュも見られる。ストーリーこそ、あってないようなものだが、両方好きな自分にとっては結構楽しめた作品である。

しかし、この作品何かに似ている。
夜の墓場のセット、うさんくさいイベント、ぐずぐずの展開・・・。
なんかあのZ級映画と称された、伝説の怪作『死霊の盆踊り』に似ているような・・・。
まあ、いいんだけど。


【MARKING】
オススメ度：★★★★4
えげつない度：★★★★★5
日本版もやってほしい度：★★★★★★★7
禍々しい度：★★★★★★★7

【INFORMATION】
・原題：MONSTER BRAWL
・製作年：2011年
・製作国：カナダ
・監督：ジェシー・Ｔ・クック
・脚本：ジェシー・Ｔ・クック
・出演：デイヴ・フォーリー、ロバート・メイレット、アート・ヒンドル、ケヴィン・ナッシュ、ジミー・ハート

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幼児誘拐事件が続く寂れた炭鉱の町で、我が子を取り戻すべく奮闘するヒロイン。そしてたどり着く驚愕の真実を描いた作品。監督は『マーターズ』のパスカル・ロジェ。主演は『テキサス・チェーンソー』『トータル・リコール』のジェシカ・ビール。

【STORY】
6年前の炭鉱の閉鎖によって衰退の一途を辿る町コールド・ロック。ここでは幼い子どもばかりが何者かに連れ去られる誘拐事件が頻発していた。町の診療所で看護師として働くジュリアは、夫と死別し一人で息子を育てている。ある日、息子のデヴィッドが何者かに連れ去られる。息子を取り戻そうと後を追うジュリアだが…。

【REVIEW】
多くの人々を凹ませた怪作『マーターズ』。その監督・パスカル・ロジェの作品と聞いては観ずにはいられない。
『マーターズ』は、前半と後半でまったく違った展開を見せ驚かされたが、この作品もまた、後半にどえらい展開が待っているのである。

炭鉱が閉鎖され、寂れまくる町コールド・ロック。
ここでは、幼い子どもばかりが何者かに連れ去られる誘拐事件が頻発していた。人々は誘拐犯を「トールマン」と呼び、恐れていた。

冒頭のシーン。
顔中傷だらけにしてうなだれる女性・ジュリア。捜査官と思われる人物から「炭鉱で子どもは見つからなかった」と告げられる。
ジュリアもまた、子どもを奪われた1人のようである。

そして、場面は36時間前にさかのぼる。

町医者だった夫と死別し、診療所を1人で切り盛りする看護師・ジュリア。最愛の息子デヴィッドとともに町外れの一軒家で暮らしている。ジュリアが診療所で働く間は、家政婦のクリスティーンがデヴィッドの面倒を見ているようである。ジュリアは看護師という仕事柄、街中の人々を気に掛けている様子。子どもを奪われ正気を失って街中をさまよい、住人からは頭がおかしいと思われている婦人にもコーヒーを差し出すような優しさを持つ女性である。

ある晩のこと、酒が入ってウトウトしているジュリア。階下から聞こえる物音で目を覚まし、様子を見に行く。するとキッチンで家政婦が縛られているのである。嫌な予感がして子ども部屋へ。しかし息子の姿はない。再び家政婦のもとへ戻ると、デヴィッドを抱えた人影が家の外へ出て行く。人影は全身を覆うフードをかぶっている。
トールマンである。たぶん。

トールマンは、停めてあったトラックに乗り込み発車。トラックにしがみつくジュリア。しかし振り落とされるジュリア。
ここでトラックも停止。ジュリア襲われ気絶。トラックに詰め込まれ一緒に運ばれていくのである。

車内で気がついたジュリア。狂犬との攻防を経て、運転手のハンドルを奪い、トラックを横転させる。
トールマンはデヴィッドを抱え、森の中へ走り去っていく。またしても気絶していたジュリア。足あとを頼りに森の中へ入っていく。

そしてそれを目撃していたのが無口な少女・ジェニー。彼女はたびたびトールマンを目撃しているようで、スケッチブックにトールマンの絵を描いたりしている。この少女は後半で重要な役割で登場する。

森の中を探し回るジュリア。しかしデヴィッドは見つからない。車道へ出て倒れ込んでいるところを冒頭の捜査官に発見され車に乗せられる。
体中傷だらけのジュリアを少しでも早く介抱しようと、最寄りのダイナーに車を停め、ジュリアをケアするように告げて事件現場に戻る捜査官。

ダイナーには、なぜか町中の住民が集結している。そしてなぜかケガをしているジュリアに対してよそよそしい。保安官の態度もおかしい。ちなみにこの保安官を演じるのは『Xファイル』で最後の黒幕を演じたシガレット・スモーキングマンの人。おぉ、懐かしい。

別室で着替えさせてもらう事になったジュリア。その部屋には祭壇のようなものがあり、連れ去られたと思われる子どもたちの写真が。よく見るとその中にデヴィッドの写真も。
よそよそしい住民たち。子どもたちの写真。そしてデヴィッドの写真・・・。
ジュリアはトールマンと住民たちがグルだと悟り、ダイナーから逃げ出す。

いつまで経っても戻ってこないジュリアを不審に思い、住民の1人が部屋に入ると、部屋はもぬけのから。
住民たちは怪しまれたと思い、外へ飛び出して車でジュリアを追いかける。
保安官は「彼女の計画が・・・」みたいな話をしている。彼女とは誰のことか？そしてその保安官はパトカーで工場のような大きな建物へ。
実はジュリア。パトカーの中に隠れていた。そしてまんまと工場にたどり着くのである。


以下、物語の重要部分に触れているので注意してほしい。


ここにデヴィッドがいると思ったジュリアは工場の中へ。
廃墟のようだが電気が通っており、人が生活している気配がある。そしてデヴィッド発見。走り去るデヴィッドを追いかけるが、トールマンらしき人物に殴られ気絶。ジュリアまた気絶。

全身を拘束された状態で気がつくジュリア。目の前にはトールマン。そしてトールマンはフードを脱ぎ去る。その人物は序盤で登場した、子どもを奪われ正気を失った婦人だった。トールマンなのに女性？
その婦人を「ママ」と呼んで抱きつくデヴィッド。婦人は「大丈夫、すべて終わった」と告げる。一体どういうことか？

婦人はジュリアに丁寧に説明する。実は子どもたちを連れ去っていたのはジュリアだった。あの夜、婦人は子どもを誘拐したのではなく、連れ戻しにいったのである。
どうやら住民は、ジュリアがダイナーに来たときには彼女が犯人であることを知っていたようだ。なぜか？
婦人は子どもを捜してさまよう最中、ジュリアの家でデヴィッドを見つける。そしてダイナーのママに取り返しに行くことを告げる。私のいうことが間違っているなら、私を警察に突き出せばいいと。しかしデヴィッドはジュリアの家から連れ戻された。そのことを知った住民は、ジュリアが犯人であることを確信する。
ジュリアは子どもを洗脳し、自分が母親だと思わせていたのである。前半とは180度ひっくり返った展開。

ひととおり話が終わる。ジュリアは一瞬の隙を突き、婦人に襲いかかり気絶させる。そしてデヴィッドを追いかける。ここで、ジュリアのヘルプにやってきたのが無口な少女・ジェニー。嫌がるデヴィッドを車に乗せ、ジュリアの家へと向かう。
家に着くジュリア一行。ジュリア、心なしか悪者顔。デヴィッドを地下室へ。
翌朝、警察がジュリアの家へ踏み込む。ジュリア逮捕。住民も集まり、罵詈雑言。そしてジュリアの家が捜索される。地下室は巨大な洞窟（炭鉱）へとつながっていた。しかし何も見つからない。連れ去られた子ども計18人の影も形もない。

ここで冒頭のシーン。
捜査官の台詞「炭鉱で子どもは見つからなかった」。
そうなのである。冒頭ではジュリアが奪われた子どもが見つからなかったと解釈できるが、実はジュリアが奪った子どもが見つからなかったという意味だったのである。ナイスなミスリード。

取り調べを受けるジュリア。18人の子どもたちを単独で誘拐したことを認めるジュリア。拘留されるジュリア。
ここで本当のデヴィッドの母親が面会に来る。見つからない子どもたちの行方を聞き出そうとするが、ジュリアは「体制は崩壊している。支援は受けられない。子どもたちは可能性と希望に満ちている。悪循環を断ち切り、子どもたちを救う」といったような謎の返答。そして子どもたちは死んだと告げるのである。

場面変わって、無口な少女・ジェニー。両親のケンカに嫌気がさし、森の中へ。そこで謎の人物に連れ去られる。トールマン？犯人のはずのジュリアは拘留されているのに？

またまた場面変わって、とある綺麗な部屋。化粧をするジェニー。連れ去ったと思われる男に部屋の外へ連れ出される。そこには謎のマダム。どうやら戸籍も変えられ、マダムの手に渡る模様。
その男は、死んだといわれていたジュリアの夫だった。ジュリアや夫は寂れた町で不遇の暮らしをしている子どもたちを連れ去り、裕福な家庭へ引き渡す組織に属していたのである。どえらい組織。ジュリアはその組織の存在が明らかになるのを防ぐため、単独犯と自供して収監されたのである。

ジュリアのいった悪循環とは、不遇の親からは不遇の子どもしか育たない。そしてその子どもの子どもも不遇の運命を辿るという意味だろう。その悪循環を断ち切るべく、裕福な家庭へと子どもを移していたのである。とてもきわどい話。

数ヶ月後、謎のマダムのもとで恵まれた生活を送るジェニー。彼女が町を歩いていると、デヴィッドらしき男の子の姿。デヴィッドもまた新しい家族のもとで幸せそうに暮らしているようだ。
ジェニーは毎日、このまま元の家に逃げ帰ろうか考える。しかしこれは自分が望んでいた恵まれた生活。このままでいいよね？と自問自答を繰り返すのであった。おしまい。

監督のパスカル・ロジェによると、アメリカでは毎年1000人近くの子どもが行方不明となる。街角で見かける「MISSING」の貼り紙を見て、子どもたちはどこへ行ったのか？そんな疑問から生まれたのがこの作品らしい。
行方不明の子どもはどこへ行ったのか？
あるときは裕福な家庭へ引き渡され、あるときは湯婆婆に預けられ、あるときは子どもをすり替えられ警察組織と戦い、あるときはなぜか飛行機から姿を消し搭乗記録からも消され・・・。

『マーターズ』ほどのぶっとび感はないが、これはこれで実に深い問題を取り上げた興味深い作品。「善」とは何か？「悪」とは何か？
ちなみに『マーターズ』ほどのえげつないシーンはないので、安心して観てほしい。

そして最後に、ここまで詳細に書いといていうのも何だが、この作品を観るときは事前に一切の情報を入れずに観ることをオススメする。


●関連作品・記事
『マーターズ』

【MARKING】
オススメ度：★★★★★★★7
えげつない度：★★2
親がしっかりすればよい話度：★★★★★5
禍々しい度：★★★★★★★7

【INFORMATION】
・原題：THE TALL MAN
・製作年：2012年
・製作国：アメリカ／カナダ／フランス
・監督：パスカル・ロジェ
・制作：ジーン＝チャールズ・レヴィ、ケヴィン・デウォルト、クレマン・ミゼレ、スコット・ケネディ
・脚本：パスカル・ロジェ
・出演：ジェシカ・ビール、ジョデル・フェルランド、スティーヴン・マクハティ、ウィリアム・Ｂ・デイヴィス、ジェイコブ・デイヴィーズ、サマンサ・フェリス、コリーン・ウィーラー、ガーウィン・サンフォード、ジャネット・ライト、イヴ・ハーロウ、ジョン・マン、ティーチ・グラント、フェルネ・ダウニー

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低予算ながら、スプラッター映画のムーブメントを巻き起こした傑作『死霊のはらわた』を、サム・ライミ＆ブルース・キャンベルのコンビが自ら製作を務めてリメイクした作品。

【STORY】
森の中に佇む小屋に集まった男女5人。目的はデビッドの妹ミアの薬物依存の治療。他のメンバーはデビットの恋人ナタリー、デビットの幼なじみの看護師オリビア、かつてのデビッドの親友で高校教師エリック。5人は小屋での生活をはじめるが、あるとき地下室で「死者の書」を発見する。そしてエリックが好奇心から呪文を唱え、封印されていた悪霊を解き放ってしまう。悪霊はミアに憑依し、4人に襲いかかるが…。

【REVIEW】
1981年に製作された『死霊のはらわた』。このとき無名監督だったサム・ライミは弱冠21歳。
しかし、その作品が世界中に一大センセーションを巻き起こし、今もなお語り継がれるスプラッター映画の金字塔となるのである。
『死霊のはらわた』は、その後、続編として『死霊のはらわた2』『キャプテンスーパーマーケット／死霊のはらわた3』が製作され、いずれも人気を博す。

そんな『死霊のはらわた』。以前から、４作目か？リメイクか？の製作の噂があったが、このほどウルグアイ出身の新人監督フェデ・アルバレスを迎え、サム・ライミ＆ブルース・キャンベルのコンビが自ら製作を務め、リメイク作品としてこの世に降臨したのである。
サム・ライミがメガホンを取らず、リメイクだったことに対して批判があったようだが、ブルース・キャンベルは「リメイクを非難した人たちは、この映画が公開された翌日に、私に謝罪するだろう」と言い放っている。
サム・ライミ自身がその能力を高く評価し、見事監督に抜擢されたフェデ・アルバレス。オリジナルの魅力を踏襲し、さらに新しい演出を加えて新しい作品を完成させることに成功したようで、公開後は全米マスコミから絶賛されたという。ふ～ん。

公開中の作品のため、できるだけ物語の重要部分には触れないようにするが、一切の情報を入れたくない人は注意してほしい。

『死霊のはらわた』といえば、森の中の小屋、死者の書、それに翻弄される主人公がお決まりだが、この作品もそれを踏襲している。
集まったのは男女5人。重度の薬物依存のため治療が必要なミア、そしてその兄のデビット、デビッドの恋人ナタリー、治療を行う幼なじみの看護師オリビア、かつてのデビッドの親友で高校教師のエリック。
デビッドは、精神を病んだ母親や幼い妹を捨てるように故郷を離れている。そのことを妹ミアはもちろん、オリビアやエリックも快く思っていない。そして母親のそばにいた妹は薬物依存に。
デビッドは、治療の協力はもちろん、妹との関係修復のために、はるばるこの小屋にやってきた。というわけで、やや今っぽい人間関係が付加されて物語は始まるのである。

妹と再会するシーン。
小屋の裏でスクラップのような車の上に座っているミア。よく見るとこの車は、オリジナル版でアッシュが乗っていた車ではないか。
そしてミアが来ているトレーナー。「Michigan State」とプリントされている。これは『死霊のはらわた』『死霊のはらわた2』の冒頭でアッシュの恋人リンダが着ていたものと同じプリントである。いずれも着ている服のデザインは違うが。ちなみにミシガン州はサム・ライミ＆ブルース・キャンベルの出身地。サム・ライミは『死霊のはらわた』製作のため、ミシガン州立大学をわざわざ中退している。
さらに、兄デビッドがミアを勇気づけるために贈ったペンダント。何かの木でできたもので意志が強くなる効果？があるようだ。こちらも素材こそ違うが、『死霊のはらわた』『死霊のはらわた2』で、アッシュが恋人リンダに同じようなペンダントを贈っている。ちなみにオリジナル版は金属製だった。
冒頭からオリジナル版のファンをニヤリとさせる演出・小道具が連発である。

小屋での生活が始まるが、案の定、禁断症状に悩まされるミア。小屋が臭い！臭い！と訴え続けるミア。最初は神経が過敏になっているためと誰も相手にしなかったが、連れてきた犬が絨毯を引っ掻きはじめたため、絨毯をひっくり返してみる一行。
そうすると、そう、地下室の扉である。そして扉を開けてみると、悪霊ではなく、まずは悪臭が解き放たれる。
地下室へ降りてみる一行。ちなみにここは、ホラー映画のお約束、木の階段の2段目くらいが古くて腐っている状況。これが後から大事な場面にアレするのである。
地下室は無数のネコの死体が吊り下げられていた。そしてその奥で1冊の本を発見する。その本は有刺鉄線でぐるぐる巻きにされ「開けるな！」とばかりに封印されている。
興味を持ったエリックは本を持ち帰る。そして「開けるな！」と言われれば開けることがお約束とばかりに有刺鉄線を切り、本を開くのである。
この本は、決して誰かが捨てたエッチな本ではなく、我らが「死者の書」。
本には、後から誰かが書いたように「この本に関わるな！呪文を唱えるな！」と書かれている。しかし、そう言われたら唱えることがお約束とばかりに、エリックは呪文を唱えてしまうのである。作品ごとに呪文が異なるのはなぜだろう？

悪霊復活。
オリジナル版と同じく、悪霊が森の中を這うように迫ってくる映像。シェイキーカム（shaky-cam）という撮影技法で、オリジナル版でサム・ライミが考案し話題となった。
悪霊は、禁断症状のため小屋の前をぐるぐる歩き回っているミアに襲いかかる。
ただならぬ気配にミアは小屋から車で脱出。しかし目の前に突然、女（悪霊）があらわれ慌ててハンドルを切るミア。ミアは車ごと池へ。何とか脱出するが、今度はオリジナルと同じように森に「襲われる」のである。気持ちの悪い何かがミアの中へ。

助け出されたミアだが、様子がおかしい。周囲は禁断症状のためだと気にしない。しかしあるときシャワーを浴びているミアに異変。温度マックスのお湯を浴びていたのである。全身やけど。ここで元凶を作ったエリックが気づく。「死者の書」に熱湯を身体にかける一節が載っていたのである。
ミアを病院に連れて行こうと車で出発するデビッド。しかし川が氾濫して行く手を阻まれる。これもオリジナルと同じようなシーン。
引き返して、鎮痛剤を打ち眠るミア。馬だか牛1頭を眠らせる量の鎮痛剤を打ったはずなのに目覚めるミア。リビングの一行のもとへ。そしてオリビアに襲いかかり、口から大量の赤い液体を吐きかける。これはたまらんと、オリビアはミアをはねのける。するとミアは偶然開いていた扉から地下室へと転がり落ちる。
一行はすかさず扉を閉め、ミアを閉じ込める。地下室のドアを少し開けたアレが見られる流れである。

ひとまず安心と思いきや、今度は赤い液体をぶっかけられたオリビアに異変。悪霊の支配は伝染していく・・・。どうなるミア？　どうなる一行？

と、こんな感じで悪霊とのバトルが繰り広げられていく。クライマックスまで見所十分。どんでん返しもあり。結構怖い。
そして間違いなくエンドロール終了まで観てほしい。最後にはアレが・・・。Groovy！

この作品単体でも、オリジナルファンでも十分楽しめる作品。隣のカップルの男の方は何度かビクッとなっていた。ポップコーンが少し容器からこぼれていた。
ある意味「笑える怖さ」が魅力のオリジナルシリーズと比べて少しシリアスなので、オリジナルファンのとらえ方は様々かもしれないが、フェデ・アルバレスがオリジナルにリスペクトを示しつつ、自分色を出した結果として十分許容できると思われる。

思えば、ホラー映画が好きになったきっかけが『死霊のはらわた』だった。悪霊に憑依された登場人物のように、ホラー映画の魅力に憑依されたのである。
また映画館で観られたことは、原点に返った気がして、とりあえず感無量。

Groovy！


●関連作品・記事
『死霊のはらわた』
『死霊のはらわた2』
『キャプテンスーパーマーケット／死霊のはらわた3』


【MARKING】
おすすめ度：★★★★★★★★8
えげつない度：★★★★★★★★8
次は4作目を！！度：★★★★★★★★8
禍々しい度：★★★★★★★8

【INFORMATION】
・原題：EVIL DEAD
・製作年：2013年
・製作国：アメリカ
・監督：フェデ・アルバレス
・製作：サム・ライミ、ブルース・キャンベル、ロブ・タパート
・製作総指揮：ネイサン・カヘイン、ジョー・ドレイク、Ｊ・Ｒ・ヤング、ピーター・シュレッセル
・脚本：フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス
・オリジナル脚本：サム・ライミ
・出演：ジェーン・レヴィ、シャイロー・フェルナンデス、ジェシカ・ルーカス、ルー・テイラー・プッチ、エリザベス・ブラックモア


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名門高校で突如発生したゾンビの大群から逃げる生徒たちを描いた作品。

【STORY】
全米屈指の名門リンカーン高校。いじめられっ子のエディは、数名の生徒たちと居残り授業を受けていた。すると突然生徒の一人が苦しみ出す。直後生徒は凶暴化し、保健室に連れて行こうと近づいた教師の首に噛みつく。教室は大騒ぎとなり生徒たちは逃げ出すが、学校中がゾンビであふれかえっていた…。

【REVIEW】
高校を舞台にしたゾンビ映画。
ゾンビが発生した原因は不明。突如としてゾンビが発生するパターン。ゾンビ映画はこれもアリ。

ゾンビ映画の特長として、特定の空間のなかで大量のゾンビに遭遇する点が挙げられる。そのなかで、いかにに工夫のある戦い方や逃げ方をするのかが、おもしろいゾンビ映画とそうでない映画の分かれ道である。たぶん。
もちろん特定の空間だからこそ生まれる人間ドラマも魅力のひとつだが。
今回は高校。なかなか興味深い舞台である。JK。

アメリカ屈指の名門リンカーン高校。
主人公は、いわゆるガリ勉でいじめられっ子の、のび太タイプの生徒エディ。優等生っぽいが、なぜか居残り授業に参加。
のび太がいれば、ジャイアンもいるということで、居残り授業に参加しているブラッド。ブラッドの恋人でチアガールのジャネットに話しかけたエディにイラッとし、メガネを壊すなどのジャイアニズムを発揮している。卒業後は軍隊に加入するらしい。
その他メンバーは、ドラッグを売りさばいているヤク中男子アッシュ、ゾンビオタクでパンク女子のウィロー。ブラッドの友人でアメフト部のジミー、そしてイカれた奴に手を噛まれたらしく調子の悪いマーク。

教師が教室にやってきて授業を始めるが、案の定マークが苦しみだす。そして保健室に連れて行こうと近づいた教師の首に噛みつくのである。
驚いた一行は大騒ぎで教室の外に逃げ出す。しかし外はすでに生徒も教師も職員もゾンビになっており、次々に人を襲う地獄絵図。
一行はケガを負った教師も一緒に連れ出し、ひとまず職員室へ。職員室では校長が無残な死を遂げている。これからどうするか相談する一行。エディの提案で図書室へ行くことに。

ロメロの『ゾンビ』によれば、確かゾンビは生前の習慣に従いスーパーマーケットに集まってきていた。
エディは誰も行きたがらなかった場所として図書室を選んだのである。なるほど。さらに図書室は出入口がひとつで、本棚などでガードしやすいからという理由も。なかなか考えている。ちなみに、なぜか携帯電話はすべて圏外。

実はエディもゾンビオタク。エディとパンクファッションのウィローは、ゾンビ関係の映画・コミック・ゲームを制覇しているらしく、二人はゾンビ友達？のようである。

ここで噛まれていた教師がゾンビ化。頭部を破壊すれば倒せるとのセオリーを守り、紙を裁断するギロチンみたいなやつで頭部切断。
ゾンビに詳しいのであれば、なぜ噛まれた教師を一緒に連れてきたのか？と思ったが、このシーンがやりたかったのだろうか。

しばらく経過し、やることがないので図書室内をうろつくアメフト部のジミー。誰もいないと思っていた図書室だが、ゾンビ化した司書が登場。ジミー噛まれる。絶望したジミーは、自ら窓の外に飛び降りゾンビのえじきに。残り5人。

その後は、高校生らしい悩み相談みたいな時間に。
ここで、ハーバード進学をめざすほどの優等生エディがなぜ居残り授業を受けていたのかが明らかとなる。エディは、ひたすら受験勉強に打ち込むためにドラッグを使用していた。それを先生に見つかり、居残り授業に参加させられていたようだ。しかもエディは、ドラッグが見つかったことでハーバードへの道が閉ざされたと悲観し、自殺しようと拳銃を持参していたのである。ということで、唐突に拳銃という武器入手。同時に、イケてない高校生でも簡単に銃が所持できる社会に喝。

やっぱりかという具合に、トイレに行きたいと言い出す人物出現。その意見を皮切りに、ブラッド、ウィロー、アッシュの3人が通気孔から図書館の外へ脱出を図る。ここで大きめのゾンビネズミに遭遇。慌てて動きが激しくなったため、通気孔が落下。3人は廊下へたたき落とされるのである。
ここで、通気孔内に愛用のマリファナを忘れてきたと引き返すアッシュ。だがしかし、ゾンビネズミのえじきに。ゾンビとはいえネズミにやられたとは思えない悲惨な死に方。

何とか図書室に戻るブラッドとウィロー。実はブラッド、早い段階でゾンビに小指を噛まれていた。メンバーには内緒にしていたが、ここでやっとゾンビ化。しかし恋人のジャネットにあっさりやられる。残り3人
図書室のバリケードは限界を迎え、脱出を余儀なくされる一行。ここで秀才エディがひらめく。アッシュの乗っていた大きめのスケボーに板などを組み合わせ、脱出用のマシーンを作成したのである。しかしこれはしょぼい。これはしょぼい。

案の定階段で転倒して投げ出される一行。ゾンビと戦いつつ体育館へ向かう一行。ここで唯一の男子となったエディが女子2人を先に行かせる。そして、バットや鉛筆、クラリネットを使ってのゾンビ無双。ゾンビ弱すぎ？ゾンビも高校級？

一方、逃げている女子2人は体育館の屋上へ。しかしジャネット足を噛まれる。エディから託された拳銃の残りの弾は1発。ジャネットはゾンビにはなりたくないと訴え、ウィローがジャネットに銃を向ける。
ここでエディ合流。しかし後ろにゾンビも追ってくる。ウィロー咄嗟に最後の1発をゾンビに発砲。あーあ。

直後、ゾンビ化したブラッド再登場。ジャネットが捨て身の体当たりで2人は屋上から落下。
呆然と座り込む2人。男女でいいムードになったところだが、軍隊一行がやってきてゾンビを一掃。助かる2人。ゾンビになったジャネットのちょっとしたオチでおしまい。

基本通りの展開で、特筆すべきことこそ無い作品だが、高校という舞台で自分ならどうするか？を考えながら観ると、わりとワクワクできる作品。
この状況でゾンビに襲われたらどうするか？を常に妄想するのは、ゾンビ好きのたしなみである。

最後に、DVDのパッケージやメニュー画面でエディがショットガンを持っているようだが、作品中には出てこないことを付け加えておこう。


【MARKING】
オススメ度：★★★★4
えげつない度：★★★★4
ネズミゾンビの活躍もうちょっとほしかった度：★★★★★★6
禍々しい度：★★★★★5

【INFORMATION】
・原題：DETENTION OF THE DEAD
・製作年：2012年
・製作国：アメリカ
・監督：アレックス・クレイグ・マン
・脚本：アレックス・クレイグ・マン
・出演：ヤコブ・ザッカー、アレクサ・ニコラス、クリスタ・B・アレン、ジェイソン・ブレア

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B級映画を量産し続けるトロマ・エンターテインメントによって製作された作品。記念すべき「毒々モンスター」シリーズの第1作。

【STORY】
ひ弱でいじめられっこのメルヴィンは、不良グループにだまされ有毒廃棄物のドラム缶に落下。有害な毒物によって身体はみるみる変化し、醜いモンスターとなってしまう…。

【REVIEW】
いい意味でくだらないB級映画を量産する伝説の映画製作会社トロマ・エンターテインメントの看板作品である。
一部からカルト的人気を誇りシリーズ化。『東京へ行く』『毒々最後の誘惑』『新世紀絶叫バトル』といった続編が作られた。その他、『毒々ハイスクール』シリーズや直接的な関連はないが『悪魔の毒々サーファー』『悪魔の毒々おばあちゃん』『悪魔の毒々プラトーン』『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々バリューセット』など、長年にわたりトロマの「毒々」作品はインパクトを残し続けるのである。

舞台はニューヨーク・トロマヴィル。とあるスポーツクラブで働く男メルヴィン。掃除係。絵に描いたようないじめられキャラ。ミスを繰り返し、まったく卯建が上がらない。
そのメルヴィンをいじめているのが男2人・女2人の集団。見るからにいじめキャラ。平気で人を車で轢いてしまう悪党である。

そんななか、トロマヴィル毒物廃棄社と書かれたトラックがやってくる。荷台には有毒廃棄物のドラム缶。そしてそのフタは思いっきり開いており、中には泡立った緑の液体。これはいかん。
トラックは案の定、スポーツクラブの前に停車。運転手はコカインタイムである。

一方、スポーツクラブ。悪党4人が仕掛けた悪戯によってメルヴィンは、女装をさせられ、逃げたところを誤って窓の外へ落下。下には当然、有毒廃棄物ドラム缶があり、メルヴィン頭から突っ込む。
液体まみれで苦しむメルヴィン。なぜか火だるまに。走り去るメルヴィン。命からがら自宅へ戻るメルヴィン。しかし見るも無惨な姿に。ここに、毒々モンスター誕生である。

家を飛び出す毒々モンスターことメルヴィン。
その晩、強盗集団に襲われている警官を救出するメルヴィン。強盗の1人は「覚えてやがれ！」とのわかりやすいセリフ。この事件が新聞に取り上げられ、話題に。
だがしかし、帰宅したメルヴィンに対して母親絶叫。変わり果てたメルヴィンと知らずに追い出してしまう。メルヴィンは仕方なく産廃置場で暮らしはじめるのである。

ある日、とあるタコスショップに3人の強盗が乱入。居合わせたメルヴィンは、なかなか残忍な方法で強盗を蹴散らす。店内には盲目の美女サラ。座り込んで動けないサラを救出。運命の出会いである。

正義感に目覚めたメルヴィン。スポーツクラブへと舞い戻る。トレーニング中のヤクの売人を瞬殺。次々と町の悪党を成敗していく。メルヴィンをいじめていた悪党4人も辱めつつ始末。そして、時には道路横断中のお年寄りを助け、時にはビンのフタが開かない主婦を助け、町の英雄に。Tシャツまで販売されるムーブメントが巻き起こるのであった。

恋の方も順調で、盲目の美女サラとデートを重ねる。そして2人は産廃置場にがらくたで作った新居を構えるのである。
ここからしばらくラブラブシーンと冒頭からのダイジェストを交えた映像が流される。5分ほど時間を無駄にする。

しかしこの事態をおもしろく思っていないのが悪徳市長。どうやらこの町は、ヤクと産廃処理で潤っているようである。
メルヴィンが邪魔な市長は、メルヴィンを陥れ、罪のない人間を殺したことに。モンスターを退治すると宣言する市長。警察出動。州兵も出動。この出動シーンもやたら長い。またダイジェスト入り。
そして、郊外のメルヴィンの住居を包囲する市長一行。兵隊たちに殺せと命じるが、メルヴィンが英雄だと知っている彼らは躊躇。メルヴィンを救おうと兵隊たちの前に立ちはだかる市民のみなさん。決着はついたようである。
メルヴィンは市長のもとへ歩み寄り腹にパンチ。内蔵が飛び出て市長アウト。市長ではなく死腸に。
歓声を上げる一同。めでたしめでたし。

くだらない、ありえない、信じられないのオンパレードだが、この何ともいえないクオリティーがある意味クセになり、思わず他の作品も観てしまうのである。恐るべしトロマ。


【MARKING】
オススメ度：★★★3
えげつない度：★★★★4
トロマの逆襲2013！中途半端度：★★★★★★★★8
禍々しい度：★★★★★★6

【INFORMATION】
・原題：THE TOXIC AVENGER
・製作年：1984年
・製作国：アメリカ
・監督：サミュエル・ウェイル（ロイド・カウフマン）、マイケル・ハーツ
・製作：ロイド・カウフマン、マイケル・ハーツ
・脚本：ジョー・リッター
・出演：マーク・トーグル、アンドリュー・マランダ、ミッチェル・コーエン、ジェニファー・バプティスト、シンディ・マニオン、ゲイリー・シュナイダー























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ロンドンの下町を舞台に、ゾンビと住人たちの戦いを描いたコメディホラー作品。

【STORY】
うだつの上がらない兄弟テリーとアンディは、祖父が入居する老人ホームに食事を納入する仕事をしていた。ある日、不況の煽りを受けて老人ホームが閉鎖の危機に。祖父を慕うテリーとアンディは、老人ホームを救うために銀行強盗を目論む。しかし時を同じくして、ロンドンは突如ゾンビが大量発生しパニック状態となる…。

【REVIEW】
ロンドンを舞台にしたゾンビ作品である。ロンドンはゾンビが頻繁に発生するなぁ。
原題は『COCKNEYS VS ZOMBIES』。「COCKNEYS」とは、ロンドンの下町イーストエンドに住む人々のことらしい。ふーん。

とある工事現場。ショベルカーが遺跡のようなものを掘り起こす。石版には「王の下に封印す 1666年」とある。工事現場の方々が石版を破ると地下へ続く階段が。2人が階段を下りていくと、そこには大量の骸骨たち。集団墓地か？
2人は骸骨を使って悪ふざけ。するとそこに動き出した死体が登場。ゾンビ来た。2人はまんまと餌食になるのである。バタリアンを彷彿とさせるシーン。

工事現場の近くにある老人ホーム「ボウ・ベル」。
何をやってもうまくいかないボンクラ兄弟のテリーとアンディは、この老人ホームに食事を納入する仕事をしていた。この老人ホームには、この兄弟が慕っている祖父レイが入居している。レイは、戦時中ナチスと戦ったという武勇伝を披露する元気なおじいちゃんである。

しかしこの老人ホーム、不況の煽りを受けて閉鎖の危機に。マンションを建てたいらしい。祖父レイと老人ホームを救うため、テリーとアンディは仲間を集めて銀行強盗を目論む。仲間は、従姉妹で錠前破りのケイティ、武闘派で武器調達役のミッキーなど。
一行は従業員に変装し銀行へ突入。まんまと現金を手に入れるが、警報ボタンを押されており、警察に銀行のまわりを包囲されてしまうのである。残念。

一方、老人ホーム。老人たちが楽しく踊っているときに、ゾンビ化した工事現場の作業員たちが大挙して乱入。次々と老人に襲いかかる。中には反撃する老人も。結構強い。

そして銀行。警察に包囲された一行は、人質を取り、それを楯にして脱出を図ることに。勢いよく外へ飛び出すが、警官たちの姿はない。代わりにゾンビに襲われ逃げ惑う人々。唖然とする一行。そしてバンに載って逃走。
助け出した負傷者が車内でゾンビ化するというドタバタを経由して、一行は廃工場のようなところへ。
ここで、ちょっとした油断から武闘派ミッキーがゾンビに襲われる。ここでのシーン、ベビーカーに乗っていた赤ちゃんゾンビをミッキーがサッカーボールのように思いっきり蹴っているが大丈夫なのだろうか？
しばらく立てこもる一行。しかし、テリーとアンディは、老人ホームの祖父のことを心配しはじめる。

老人ホームでは、レイをリーダーとした数人のグループが一室に立てこもっていた。ふと外を見ると、のんきに居眠りをしている老人1名。どうやらゾンビ発生前からここで寝ていたようだ。レイたちの呼びかけに目を覚ます老人。後ろにゾンビ。志村、後ろ！　逃げる老人。

ここで特筆すべきシーン。
この作品のゾンビはいわゆるロメロ原理主義的な動きの遅いゾンビ。そして逃げる老人もまた歩行器を使いながらのノロノロ歩行。周囲が大騒ぎするなか、動きの遅い2人の決死の追いかけっこが展開されるのである。
そもそも、動きの遅いゾンビが目の前に現れたところで、走って逃げればそれまでのことである。しかし、ちょっとした油断や人間同士の争い、醜い欲望などが原因で、まんまとゾンビの餌食になってしまう。ゾンビ映画の魅力はここにあると思われるが、このシーンはそれを逆手に取ったような興味深いシーン。ハラハラしつつも微笑ましい。また、動きの速いゾンビへの皮肉とも取れて、好感が持てる。ロメロ万歳。
ちなみに必死に逃げたこの老人は、レイたちの助けを借り、無事老人ホーム内に生還する。

場面変わって廃工場。噛まれたミッキーはゾンビ化。ミッキーの頭を銃で撃ち抜こうとするが、ミッキーの頭部は過去の手術で金属板が埋め込まれており、銃弾が弾かれる。ここもゾンビ映画の常識を逆手に取ったようなシーン。一行はミッキーの口に手榴弾を突っ込んで倒すのである。

そして一行はミッキーのアジトへ移動し、武器を調達。レイたちを救出すべく、ロンドン名物2階建てバスを強奪して老人ホームへと向かう。
老人ホームでレイたちと合流できた一行。老人たちにも武器を持たせ、大立ち回りを演じる。ちなみに、銃をぶっ放す老人たちのなかには元ボンドガール・プッシー・ガロアを演じたオナー・ブラックマンの姿も。

一行はバスに乗り脱出。めでたしめでたしと思いきや、バス故障という予定調和が発生。近くの川へ向かう。老人たちを連れた移動は何かと大変そうである。川に係留されていた船に乗って出発することに。だがしかし、係留されているロープを外し忘れるという予定調和が発生。ホラー映画は予定調和を連発させることに醍醐味がある。
ここでレイが命を捨てる覚悟で陸に舞い戻る。大量のゾンビに囲まれ死んだかと思いきや、銃を撃ちまくってゾンビ殲滅。さすが元軍人。
タワーブリッジの見える川を下っていき、おしまい。

ゾンビ映画は特に、死に様と生き様の両方に注目できるが、今回はゾンビがいる世界の老人たちの生き様を堪能できた。なかなか興味深い設定である。

ほとんど全員の役名の最後が「Y」で終わっているようだが、あんまし関係ないのかな？


【MARKING】
オススメ度：★★★★★★★7
えげつない度：★★★3
武器調達シーンのワクワク度：★★★★★★★★★9
禍々しい度：★★★★★★6

【INFORMATION】
・原題：COCKNEYS VS ZOMBIES
・製作年：2012年
・製作国：イギリス
・監督：マサイアス・ヘイニー
・製作：ジェームズ・ハリス
・製作総指揮：アンドリュー・ボズウェル、サイモン・コーワン、マシュー・ジョインズ
・脚本：ジェームズ・モラン、ルーカス・ローチ
・出演：ハリー・トレッダウェイ、ラスムス・ハーディカー、アラン・フォード、オナー・ブラックマン、ミシェル・ライアン、ジョージア・キング、トニー・ガードナー、リチャード・ブライアーズ
























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パーティーの最中にアニマルマスクの集団に襲撃されパニックに陥る家族を描いた作品。

【STORY】
両親の結婚35周年を祝うため、別荘に集まった子どもたちとそのパートナー4組総勢10名。家族揃っての晩餐の最中、外から突然ボウガンの矢が飛んできて一人が犠牲に。そしてヒツジ・キツネ・トラのマスクを被った集団が押し入ってくるが…。

【REVIEW】
わかりにくいが、象徴的なアニマルマスクが興味を惹いたこの作品。監督は、ハリウッドで注目の若手監督らしいアダム・ウィンガード。勢いで作られたと思われる『V/H/S シンドローム』や『ABC・オブ・デス』に参加しているとのことなので、勢いはあるのだろう。

冒頭、挨拶代わりに何者かに家で殺されるカップル。窓には血文字で原題の『YOU'RE NEXT』。タイトルコール代わりか。
そして悲劇はそのお隣で繰り広げられる。YOU'RE NEXT！お隣さん。

両親の結婚35周年を祝うために集まった4組の子どもたちとそのパートナー。
父親は大手軍需産業に勤めていたようで、リタイア時に結構な退職金が入ったようだ。そして余生を過ごすために郊外に別荘を購入。ここで結婚35周年パーティーを行おうというのである。

集まったのは両親、長男ドレイクとその妻ケリー、長女エイミーと恋人タリク、次男クリスピアンと恋人エリン、三男フィリックスと恋人ジー。

そしてお祝いの晩餐。
しかし、いい歳こいた大学院生の次男クリスピアンの研究がうまくいっていないようで、それを批判した兄と口論。論文のねつ造でもしたのだろうか。助手だった恋人エリンの存在も気に入らないようだ。
そんななか、長女エイミーの恋人で映画監督のタリクが窓の外の何かに気づいて近づく。そして窓の外から放たれたボウガンの矢を額に頂戴して倒れるのである。タリク、アウト。最初に殺されたのが映画監督というのは、何かメッセージ性があると思ったのは自分だけか。

一家大騒ぎ。ボウガンの矢は次々と撃ち込まれる。そして毒舌キャラの長男ドレイクの背中にも。一命は取り留めたようだが。
突然の事態にパニックに陥る一家。携帯電話は妨害電波が発信されているようで使えないという予定調和。昔なら電話線を切られているパターンである。

ここで長女エイミーが足が速いという理由で、外に助けを呼びに行くことに。勢いよく外へ駆け出すが、ピアノ線のようなものが玄関を出てすぐのところに張られており、首を切られてしまう。エイミー、アウト。
このあたりから、ケガの応対や脅威に対する防御法などにやたら詳しそうなエリンの存在が気になってくる。

精神的ショックで一人2階で寝込む母親。この母親を演じるのは『死霊のしたたり』『フロムビヨンド』でヒロインを演じたバーバラ・クランプトン。おぉ！バーバラ。しかしベッドの下からアニマルマスクの男登場。母親惨殺、アウト。おぉ！バーバラ。
母親の遺体のそばに寄り添っていた長男ドレイクの妻ケリー。物音に気づきベッドの下を覗き込む。そこにはアニマルマスクの男。驚いて叫びながら家の外へ走り去るケリー。隣の家へたどり着くが、冒頭で殺されているので応答無し。ケリー惨殺、アウト。

一方、助けを呼びに行くといって家を出る次男クリスピアン。ひとまずトラップにはかからなかったようだ。直後、アニマルマスクの男侵入。
アニマルマスクの男は、ヒツジ・キツネ・トラの3人いるようだが、違いがよくわからない。というか、あんまし注意して観てなかった。
このうちの一人（たぶんヒツジ）を次男クリスピアンの恋人エリンがあっさりと蹴散らす。マスクをはぎ取るが知らない顔。知らんのかい。まあ、判別できないほど顔を殴っておいて「知ってる顔？」と聞くのも無茶な話であるが。

その頃、家族は大量に殺され失意の父親。妻の敵をとるべく家の中を捜索中。そしてウォークインクローゼットの中で何者かが生活していた痕跡を発見。侵入者たちは突発的に現れたのではなく、一家を計画的に襲っていたことが判明するのである。そして親切にそれを教えてくれた直後アニマルマスク（たぶんオオカミ）に首を切られる。父親、アウト。ここで残り5人。

以下、物語の核心部分に触れるので注意してほしい。

父親が殺された様子を冷静に見ていた三男フィリックスと恋人ジー。アニマルマスクと言葉を交わす。知り合い？　黒幕はフィリックスか？
しかし、引き続き被害者を演じ続ける三男フィリックスと恋人ジー。
こうなると頼りは、なぜか大活躍のエリンだが、ここで彼女がサバイバルキャンプで育ったというギミックをカミングアウト。父親からどこでも一人で生きていけるよう育てられたらしい。むぅ。

冒頭で背中に矢が刺さり、以降ずっと気絶していた長男ドレイクがやっと覚醒。しかし地下室で三男フィリックスと口論になり、長男ドレイクは刺し殺される。ドレイク、アウト。

その後、何度かのピンチを経て小部屋に身を隠していたエリン。それを知らずに近くで会話をする三男フィリックスとアニマルマスクたち。会話の内容からグルであったことをエリンに知られる。どうやら父親の遺産狙いだったようだ。しかしここで、エリンの携帯電話が鳴って見つかるという予定調和が発生。覚悟を決めたエリンは、まず一人を撃退。さらに地下室で敵を待ち伏せ鈍器で滅多打ちにしてもう一人を撃退。意外なほどあっさりアニマルマスク全滅。

残る敵は三男フィリックスと恋人ジー。2人がかりでエリンを攻撃するが、エリン強し。まずは逆さまにしたミキサーの刃が回転しているところをフィリックスの頭に突き刺し電源を入れるというクリエイティビティーの高い方法で惨殺。続いてジーをナイフで脳天ひと突き。またあっさり。セガール級。

ここで死んだフィリックスのポケットに入っていた携帯が鳴る。電話の主は、エリンの恋人で外に助けを呼びに行った次男クリスピアン。電話の相手がエリンだと知らず「終わったか？」などと言っている。次男クリスピアンもグル確定。電話で話ながら家に戻ってきた次男クリスピアン。立ちはだかるエリン。気づかれたと悟ったクリスピアンはエリンに財産の一部を渡すと持ちかける。聞く耳を持たないエリン。クリスピアンの首にナイフひと突き。

しかしその瞬間、何者かがエリンに向かって発砲。警察である。エリン負傷。クリスピアン襲撃の様子を窓の外から見ていた警察は、エリンがこの惨劇を起こした犯人と思ったようだ。玄関から家の中に突入しようとする警官。しかし、玄関には少し前にエリンが仕掛けた斧が振り落ちてくる罠が仕掛けられていた。
玄関のドアを開けた瞬間振り落ちてくる斧。落ちてくる途中でおしまい。
Oh,No!　斧だけにOh,No!　 アニマルマスク弱すぎOh,No!

たぶん生き残ったエリン。その後、被害者として扱われるのか、犯人として扱われるのか。一体どちらの「YOU'RE NEXT！」なのだろうか・・・。


【MARKING】
オススメ度：★★★★★★★★8
えげつない度：★★★★4
マスク色塗って度：★★★★★★6
禍々しい度：★★★★★★★7

【INFORMATION】
・原題：YOU'RE NEXT
・製作年：2011年
・製作国：アメリカ
・監督：アダム・ウィンガード
・製作：キース・コルダー、ジェシカ・ウー、サイモン・バレット、キム・シャーマン
・脚本：サイモン・バレット
・出演：シャーニ・ヴィンソン、ニコラス・トゥッチ、ウェンディ・グレン、ＡＪ・ボーウェン、ジョー・スワンバーグ、マーガレット・レイニー、エイミー・サイメッツ、タイ・ウェスト、バーバラ・クランプトン、ロブ・モラン

























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少年たちの悪戯で大火傷を負ったキャンプ場の管理人が、巨大なハサミで若者を惨殺していく作品。特殊メイクは『ゾンビ』『13日の金曜日』のトム・サヴィーニ。

【STORY】
キャンプ場の管理人のクロプシーは、ある夜の少年たちの悪戯によって大火傷を負う。5年後に退院したクロプシーは、自分に大火傷を負わせた元少年たちに復讐するため、キャンプ所に舞い戻る。そして巨大バサミを手に若者に次々と襲いかかる…

【REVIEW】
さて、長い年月を経て、とうとうDVD化してくれたこの作品。
イジリどころが多すぎて何から取り上げて良いか非常に迷うが、まずは何といっても殺人鬼バンボロであろう。
刃渡り40センチの巨大バサミを振るって無差別殺戮を繰り返し、FBIが全米緊急指名手配した最重要凶悪犯・・・という実在の殺人鬼ギミックでセンセーショナルに登場したバンボロ。
だがしかし、映画のなかにはバンボロという言葉は一切出てこない。殺人鬼にはクロプシーという立派な名前がある。いったいどこからバンボロは出てきたのか？

さらにこの作品は、全米27州で上映禁止。鑑賞中に悲鳴を上げて声帯や鼓膜が傷つけば200万円。ショック死した場合は2000万円が支払われる。という世紀のハッタリ宣伝文句で話題を呼んだ。
バンボロも宣伝文句も、配給元である東宝東和のねつ造であるが、今や作品の中身よりもこのハッタリが伝説として語り継がれている作品である。こんなことして怒られなかったのかな？
この暴挙に敬意を表して、この記事ではクロプシーではなくバンボロと表記することにしよう。

ちなみに特殊メイクはトム・サヴィーニ。『13日の金曜日 パート2』のオファーを蹴って参加したらしい。この作品唯一の救いか？

では本題のストーリー。
ブラックフッドキャンプ場。ここで管理人をしているクロプシーは、その偏屈な性格で周囲から嫌われていた。ある夜、少年たちが集まり、クロプシーへの悪戯が決行される。ゾンビの頭のような作り物の目の部分に、火をつけたロウソクを仕込み、眠っているクロプシーの枕元に設置。気がついたクロプシーは、作戦通りたいそう驚く。ここまでは良かったが、驚いた勢いでゾンビの頭のような物を倒したため、毛布に引火。続いて床に置いてあったガソリン缶に引火し、クロプシーにも燃え移り火だるまに。さらに、火だるまクロプシーは外へ駆け出し、そのまま湖に転げ落ちてしまうのである。
予想外の展開に、ヤバイと思った少年たちは、そのままトンヅラ。

1週間後、聖キャサリン病院。全身大火傷の患者を興味本位で見に行く職員と入りたての医者。職員がカーテンのようなものを開けて覗き込むと、突然腕を掴まれるびっくりシーン。ここでタイトルコール。

5年後。何とか容態も安定し、退院するクロプシー。しばらく安静が必要なようだが、退院早々娼婦を惨殺。これは小さいハサミで。ウォーミングアップ完了。

場面変わってキャンプ場。高校のソフトボール部？の合宿でやってきた若者たち。練習中に森の中へボールが入り込んで探しに行く少女。バンボロ登場。だがすぐにボールは見つかり、気づかずに引き返す少女。
その夜も異常なし。翌朝、バンボロの仕業かと思いきや、誰かが誰かのシャワーを覗いたとかのイザコザ。しばらくの間、のどかな合宿風景。引っぱるね。

その後、上級生10数名がカヌーに乗ってデビルズクリークという場所まで出かけることに。
目的地に着いた一行。湖で水を掛け合ってじゃれ合う一行。その夜にキャンプファイヤーを楽しむ一行。

バンボロまだー？

キャンプファイヤーでは恒例の怖い話大会。そこでリーダー格の男が、大火傷を負った殺人鬼の話としてバンボロのエピソードを丁寧に説明してくれる。
ここで、湖へ泳ぎに行こうとキャンプファイヤーを抜け出す1組のカップル。きたか？
ちょっとしたセクシーシーンを経てカップルがイザコザ。女子の方が帰ろうと岸に戻るが服がない。探し回ると服などがご丁寧に1着ずつ木に引っかけられている。それを1着ずつ取っていくと、徐々に森の奥へ誘導されるという仕組みである。そしてバンボロ。デビルズクリークまでどうやってきたのか？
やっと1人目惨殺。上映時間の半分くらいまで来て、やっと1人目。スロースターターのバンボロ。

翌朝。乗ってきたカヌーが一隻もなくなっていることが発覚。話し合いの結果、いかだを作って助けを呼びに行くことに。いかだ、あっさり完成。5名ほど乗り込みキャンプ地へ向けてスタート。手作りのオールで、なかなか前に進まず苛立つ5人。するとすぐ先に乗ってきたカヌー一隻が浮いている。歓喜の5人。
カヌーにたどり着くが、そこに隠れていたのはバンボロ。瞬殺される5人。とても病み上がりとは思えないほどのハサミさばきである。
逆光のシルエットでハサミを振り上げる象徴的な場面である。

特殊メイクが光るこのシーン。やる気満々のトム・サヴィーニは、準備期間1ヶ月、撮影に7時間を費やしたらしい。

その後、集団を離れて情事に耽ったためにフラグが立ったカップル惨殺。しかしその様子を1人が目撃しており、その報告を受けたリーダー格の男と現場に再度向かう。バンボロ登場。リーダー格の男あっさり気絶。逃げる目撃した男。追いかけるバンボロ。

時を同じくして、出て行ったはずの手作りいかだがフラフラと出発点まで戻ってくる。不思議そうに見守る一行。そして、いかだには惨殺死体が乗っていることが発覚し、パニックになる一行。
これはマズイと、数名が再びそのいかだに乗ってキャンプ地へ向かう。今度はあっさり到着し、救助を求めるのである。

一方、バンボロに追いかけられる目撃した男。気絶していたリーダー格の男も目を覚まし後を追う。目撃した男はバンボロに捕まり、廃墟に引きずり込まれる。声を聞いたリーダー格の男も廃墟の中へ。
そこへ、小さな火炎放射器のようなものを持ったバンボロ登場。その炎を見たリーダー格の男が過去をフラッシュバック。実はリーダー、5年前にバンボロに悪戯をした少年たちの1人であったことが判明。おい、リーダー！
ちなみにバンボロは、本当に火傷でそうなったのかと思うほどのモンスター顔。

炎に追いつめられるリーダー。しかし背後から、目撃した男が巨大バサミで一撃。倒れるバンボロ。
終わったかと思いきや、ホラー映画のお約束発動。立ち去ろうとする2人につかみかかるバンボロ。そこへリーダーが斧をバンボロの頭に振り下ろす。さらに目撃した男が、落ちていた火炎放射器でバンボロに着火。哀れバンボロ、2度目の丸焼け。バーニング。おしまい。

バンボロという殺人鬼を生んだ元凶が、リーダー格の男にあったということがわかってから何か釈然としない。だからこの一行が襲われたのだろうが。

以前観たときは、もう少し衝撃的だったような・・・。大人になったかな・・・。
しかし、30年くらい前はこれが普通にテレビで放映されていたのだから、時代は変わったものである。


【MARKING】
オススメ度：★★★★★★6
えげつない度：★★★★★★★7
バンボロの意味教えて！度：★★★★★★★★★9
禍々しい度：★★★★★★★★8

【INFORMATION】
・原題：THE BURNING
・製作年：1981年
・製作国：アメリカ・カナダ
・監督：トニー・メイラム
・製作：ハーヴェイ・ワインスタイン
・製作総指揮：アンドレ・ジャウイ、マイケル・コール
・脚本：ピーター・ローレンス、ボブ・ワインスタイン
・特殊メイク：トム・サヴィーニ
・出演：ブライアン・マシューズ、リア・エアーズ、ブライアン・バッカー、ラリー・ジョシュア、ジェイソン・アレクサンダー、ネッド・アイゼンバーグ、キャリック・グレン、キャロリン・ホーリハン、ルー・デヴィッド、ホリー・ハンター

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絶叫学級

少女漫画雑誌「りぼん」で連載され高い人気を誇るいしかわえみの同名ホラー漫画を実写映画化。

【STORY】
平凡な女子高生・加奈は、読者モデルとして雑紙に取り上げられたために、学園の人気者リオとそのグループに目を付けられる。この学園には事故で亡くなった生徒が幽霊として現れ、大切なモノと引き換えに願いを叶えるという都市伝説があった。加奈はいじめられている状況を打破するために、幽霊に願いを告げるが…。

【REVIEW】
日本の夏、金鳥の夏、怪談の夏・・・。
ということで夏も終わりに近づいているが、日本の幽霊モノ作品。

聖リタ女子学院という、いかにもな名前の女子高に通う荒樹加奈。家柄・見た目・成績と、すべてにおいて平均的な加奈はクラスでも目立たない存在である。
一方、同じクラスの高見沢リオ。お嬢様なうえに容姿端麗で、雑紙のモデルも務める学園の人気者。加奈は、そんなリオのようになりたいと憧れを抱き続けているのである。

ある日加奈は、親友で美術部所属の絵莉花と美術室でたわいもない会話。そこで絵莉花から学園に伝わる都市伝説を聞く。それは、今は使われていない旧校舎の理科室に出る幽霊の話で、満月の午前0時に幽霊に願い事をすると、その願いを叶えてくれるというもの。しかしこの幽霊、願いを叶える代わりに、願い事をした人の一番大事なモノを奪ってしまうようである。

この幽霊は、12年前にこの学校の生徒だった。しかし陰湿ないじめを受け、いじめっ子グループを道連れに理科室のガスに火をつけ爆発事故を起こす。いじめっ子グループは全滅。この生徒も下半身が爆発で失われ、上半身のみの死体で見つかったようである。
そして幽霊として現れるようになったが、なぜ願いを叶えてくれるのかはわからない。
ちなみに旧校舎は事故後に何度も取り壊そうとしたらしいが、工事を始めると何かしら事故が起こるために放置している。

加奈のクラスで、いじめのターゲットとされている桐谷敦子。敦子という名前。同じ時期に『クロユリ団地』も上映されているが、、、考え過ぎか。いじめているのは学園の人気者リオを崇拝するグループ。
机にボンドで消臭剤を固定されたり、トイレの個室で上から洗剤をかけられるなど、なかなか凄惨ないじめを受けている敦子。こ、怖い、女子怖い。
敦子はこの後、転学を余儀なくされるのである。

ある日、加奈が雑紙の読者モデルとして雑紙に掲載されたことが発覚。教室でも話題の的に。しかしそれをおもしろく思わないのが、リオと彼女を崇拝するグループ。敦子が転学したために、次のいじめのターゲットとしてロックオンか。
リオグループは、加奈に放課後買い物に行かないかと誘う。リオに認められたとまんざらでもない加奈。近くにいた親友・絵莉花に対して、リオの目を気にして友達ではないと言ってしまう。あーあ。

リオに私服をコーディネートしてもらいご満悦の加奈。リオの友人の男子グループとカラオケに行く加奈。そしてリオが部屋を出たとたんに男子グループに乱暴される加奈。その場面を写真に撮られる加奈。嵌められたことにようやく気づき帰り道で号泣する加奈。これが若さか・・・。
敦子へのいじめのときもそうだが、必ずいじめの現場にリオはいない。そのあたりは狡猾で、長きに渡りいじめっ子ポジションとして君臨していることが伺える。

翌日。登校する加奈に周囲は冷たい反応。下駄箱には、乱暴された時の大量の写真が。そして上履きをパクられるという古典的手法。
エグいの大丈夫だけど、こういうの見るの辛い・・・。

一人寂しく弁当を食べる加奈。そしてその様子を遠くから見ているのが美術部顧問の女性教師・保坂まこと。かなり訳ありの様子。美術部の顧問だからか、手には大きめのカッターナイフ。カッターの刃を何度もカチカチさせている。
リオがいじめの主犯格と睨んだ保坂は、リオを問いただす。しかしそこは百戦錬磨のリオ。尻尾を掴ませることはしない。おまけに父親がこの学園に多額の寄付をしていることをチラつかせる。加奈に聞いても、報復を恐れてかいじめられていることを認めない。いじめの根深さはここにある。

そして突然場面は変わり、倉庫のような所に手足を縛られ口にガムテープを貼られている加奈。どうやら旧校舎。突然誰もいないのに拘束が解かれる。とある部屋に逃げ込む加奈。そう、例の事故があった理科室である。
そこに現れたのが、上半身は加奈と同じ制服で、下半身はなく、ヘソ出しで宙に浮いた状態の女子生徒。都市伝説の理科室の幽霊である。
加奈は冷静に例の幽霊と認識し、いじめの状況を打開するために、リオのようになりたい、誰よりもきれいで人気者になりたいと訴える。うなずく幽霊。

翌日。加奈へのいじめはなくなり、スクールカーストのトップに君臨するリオグループの一員となっていた。だがしかし、いじめのターゲットになっていたのは、疎遠となっていた絵莉花だった。加奈は絵莉花を気遣って声をかけようとするが、リオたちがそうさせない。願いが叶った代わりに親友を失ったのである。

絵莉花を徹底的にいじめ抜くべく、リオグループは加奈を使って絵莉花を旧校舎におびき出す。加奈の仲直りしたいというメールに喜んで旧校舎へ向かう絵莉花。これは切ない。そして旧校舎で待ち受けていたのはリオと手下2人。
リオたちは、美術部である絵莉花が大切にしているスケッチブックを奪い燃やす。スケッチブックの中の一枚には、美術の授業で描いたリオの顔のスケッチ。しかしその顔の半分は醜いモンスターのように描かれていた。さらに怒りを増すリオ。ついに直接手をかける。おもしろがってその様子を携帯電話で撮影して加奈にメール。ん？これは？

リミッターが外れたリオはどこからか硫酸を見つけてきて、絵莉花にぶっかけようとする。さすがの暴挙に手下2人はどん引き。
その時、教室全体が地震のように激しく揺れ出し、大きなラックがリオに向かって倒れてきてリオ下敷き。手下2人は逃亡。

一方、保坂に説得された加奈はやっと目が覚め、絵莉花が呼び出された旧校舎へ向かう。加奈が置いていった携帯に、いじめの動画がメールされているのを発見した保坂も旧校舎へ。証拠も掴んだね。

ここで、保坂が高校生の頃にいじめを受けていた回想シーン。
理科室に追い込まれいじめを受けているJK保坂。手には大きなカッターナイフ。
そこへ駆け付けたのが、現・理科室の幽霊こと秋元優美。2人は同級生だったのである。
いじめグループは優美に対して、JK保坂を窓から下に落とすように迫る。下の階の出っ張りに落ちれば、大事には至らないと確認した優美は、小さく「ずっとトモダチ」とささやいてJK保坂を突き落とす。そして、あらかじめガス栓を開いていた状態でライターに火をつけ爆発。窓辺にいた優美は、下半身のみやられたようで、上半身は窓から身を乗り出すような格好に。それを下の階の出っ張りから見ているJK保坂。
優美の上半身は、下の階の出っ張りに落下。さらにバウンドしてその下へ落下。
どうやらこれが12年前の事件の一部始終のようである。

場面変わって旧校舎。駆け付けた加奈は絵莉花を発見。絵莉花に謝罪。下敷きになったリオは苦しんでいる。そしてスケッチブックを燃やすために使用したガスバーナーが引火して爆発。加奈と絵莉花は脱出。駆け付けた保坂が理科室の中を覗くと、炎の中に理科室の幽霊。久しぶりの対面。幽霊は保坂に優しく微笑みかけるのである。

リオは、顔に一生消えないほどの火傷を負って入院中らしい。教室のリオの机には「天罰」と落書きされていた。哀れリオ、絵莉花が描いたスケッチ通りになってしまったか。

平穏な日常を取り戻した学校。絵莉花は相変わらず、美術室で絵を描いている。そこに加奈が迎えに来て一緒に帰ることに。どうやら加奈はモデルをしていて学園の人気者のようである。手下も2人。だが、一緒にいることに違和感を感じる絵莉花。
美術室に置いていった絵莉花のスケッチブックを何気なく手に取る顧問の保坂。最終ページには、なんと顔半分がモンスターのように描かれた親友・加奈が描かれていたのである。

校舎を出て帰路につく加奈グループ。しかし絵莉花は旧校舎に目を止め、急に走り出して中へ入っていく。理科室の窓にはお化けの姿が。絵莉花は一番大切なモノを捨てる代わりに、画家という夢を叶えに向かったのである。
おしまい。

もっと爽やかにやりましょうよ。
ジェイソンとかフレディとか見習いましょうよ。

最後に。
この学校の制服の靴下が薄い茶色で、微妙に合っていないのが気になった。


【MARKING】
オススメ度：★★★★★5
えげつない度：★★2
栗原類は何だったのか度：★★★★★★★7
禍々しい度：★★★★★5

【INFORMATION】
・製作年：2013年
・製作国：日本
・監督：佐藤徹也
・製作：國宇克信、渡辺直樹、岩本孝一、新坂純
・原作：いしかわえみ
・脚本：三浦有為子
・出演：川口春奈、広瀬アリス、松岡茉優、栗原類、松本花奈、小山莉奈、池田依來沙、波瑠、山本美月

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スペインで150万人が大絶叫したといわれ、POV (ポイント・オブ・ビュー) により圧倒的な緊張感を生み出したスパニッシュ・ホラーの最終章。監督はパート1・2でもメガホンを取ったジャウマ・バラゲロ。

【STORY】
バルセロナのアパートで起こった惨劇の唯一の生存者アンヘラ。救出された彼女が意識を取り戻したのは、研究施設が備えられた巨大な船の上だった。研究の実験台にされる危機を感じたアンヘラは脱出を図るが、時を同じくして船内ではウイルス感染被害が発生する…。

【REVIEW】
非常に久しぶりのアップであるが、待ちに待っていた人はいないと思うので早速本題に入ろう。

さて、バチカンのある神父が悪魔憑きを科学的に解明しようとしていた過程で未知のウイルスを発見し、手違いからアパート中にウイルスを広めてしまった事件。古来から恐れられている悪魔憑きは、実はウイルス感染が原因だった？という斬新な発想でウイルスパニックにオカルトの要素も加えた異色の作品となった『REC』シリーズ。

パート2でウイルスの元凶とされるメデイロスという屋根裏の少女の血を入手しかけたが失敗。しかし途中から現れたアンヘラに、実は悪魔本体が移っていたと思わせるシーンで終了した。
今作は最終章ということで、悪魔とウイルスの関係やメデイロスという少女、神父の言葉で感染者の動きが止まる謎など、さまざまなことが解明されるという期待が高まる。

冒頭はパート2の直後（ちなみにパート3は番外編的位置づけ）。軍隊が問題のアパートを爆破すべく突入。各階に爆弾を仕掛けていく。仕掛け終わって退避しようとすると奴ら（感染者＝悪魔？）が現れる予定調和。数名えじき。
そこへ唯一の生き残りアンヘラ登場。兵士グスマンに救出されるのである。

ここでタイトル。
目を覚ましたアンヘラ。どこかの医療施設。全身を拘束されている。
同じく目を覚ました兵士グスマン。拘束はされていない。部屋を出ると老婆に遭遇。「披露宴会場はどこか？」と聞いてくる。おぉ、この老婆はパート3の新婦・クララの親族か？
一方、医療スタッフから採血されるアンヘラ。血液は謎の研究施設に運び込まれる。スタッフの目を盗み拘束具を解いて脱出するアンヘラ。たくましくなったものだ。少し老けたが。

部屋を脱出したアンヘラはグスマンと出会う。そして一緒に逃げ回る。追いかけ回す武装した男たち。逃げ回る際の廊下などの特徴から、どうやらここは巨大な船であることが判明。しかし2人はあっさり追い込まれる。立ちはだかったボス格の男はどうやら研究者。この船は研究者の集団が牛耳っているらしい。血液検査の結果アンヘラは陰性とわかり解放される。

ここは、船にもかかわらず研究施設を設置しているため、発電機が酷使されているようで、たびたび停電が起こるという。そして船の進む先には巨大な嵐が待っているのである。
ここで起こるべきことが起こる。
研究施設の中に隔離していた何かが逃げ出したらしい。どうやら停電中はセキュリティシステムが作動しなかったようだ。

船内の厨房。料理を作るコック。不審な音に振り返るとそこにいたのは猿。どう見ても感染している。襲われ噛まれるコック。しかし猿を調理中の鍋の中に放り込み撃退。
一方、食堂では料理がまだ運ばれてこないと文句をたれる船員たち。1人が厨房へ様子を見に行く。コックは背を向けて何も話さない。ふと見ると大皿料理が一品できあがっている。そしてそれは食堂に運び込まれたのである。猿の姿はない。あーあ。

案の定、船員たち感染。
先ほどのボス・リカルテは、感染したコックに極秘に開発していた解毒剤を投与してみる。だが効果なし。むしろ凶暴性が増すという失態。
その後、食事をしたメンバーは襲う側に、食事をしなかったメンバーは襲われる側となり緊迫した攻防が繰り広げられるのである。
アンヘラやグスマンはもちろん襲われる側。

なぜ解毒剤が効かなかったのか途方に暮れるボス・リカルテ。どうやらアパートの一件の感染者の血をサンプルにして研究を進めてきたが、その血に含まれるウイルスが変異してしまったらしい。完全な解毒剤を作るにはオリジナルの血、つまり屋根裏の少女・メデイロスの血が必要らしい。

ここでタイミングのいいことに、アンヘラの救出と一緒に押収されたビデオカメラが復元できたようだ。
その映像はパート2のラスト、屋根裏の少女がアンヘラに襲いかかり、アンヘラに寄生虫のような形状の悪魔の本体を口移しするシーンが。悪魔に取り憑かれていたのはこれが原因、そしてその寄生体はアンヘラの中に・・・。寄生体は宿主に危害を加えない。だからアンヘラは陰性だった？
そうとわかったボス・リカルテと手下たちはアンヘラを探す。

操舵室にいたアンヘラ捕まる。その場で寄生体を摘出する手術をされそうになるピンチを切り抜け逃走。必要なときにいつもそこにある防火用の斧を武器にして必死に逃げ回る。
しかし再度追い込まれたアンヘラは、窮鼠猫を噛むかのごとくボス・リカルテに噛みつく。そして噛まれたリカルテの血を調べてみろという。結果は陰性。そんなはずはないとリカルテ。陰性の人に噛まれても陰性だと思うのだが・・・。
いずれにしても、寄生体はどこへ？

ここでアンヘラはグスマンを疑いはじめる。アパートでアンヘラを助けたときグスマンと2人きりだった。そのときに寄生体はグスマンの体へ移ったようだ。ちょっと強引だが。
それを指摘されたグスマン。一気に悪役顔へ。停電中に猿を逃がしたのも彼らしい。
グスマンはアンヘラを倉庫に追い込む。アンヘラは暗闇のなかを猿などに襲われつつやり過ごすのである。

一方、解毒剤の作成を諦めたボス・リカルテ。失敗の場合のマニュアルに沿って船の爆破装置を起動させる。残り時間20分。

何とか猿や感染者たちを振り切って救命ボートで脱出しようとするアンヘラ。しかしここでグスマン登場。アンヘラに寄生体を口移しにかかる。アンヘラは手にした銛で軍医をひと突き。グスマン死亡。

ラストは救命ボートのエンジンがなかなかかからない予定調和を経て無事脱出。
グスマンの口から出た後、海中をさまよう寄生体。巨大なヒルのようなミミズのような形状。そこへでっかい魚がやってきて、寄生体をひと飲み。
新たな宿主が見つかった？
おしまい。

船ならではの狭い通路や多数の小部屋により、逃げたり隠れたりのシーンには緊迫感がある。ボートのスクリューや銛など、船ならではの武器が後半にしか活かされなかったのは残念。

だがしかし、最大の問題は冒頭で述べた謎がまったくといっていいほど明らかにされなかったことである。船からの脱出の際にバックパックに入れたビデオカメラはどうなった？
最終章といいながら寄生体は生き延びたようで、続編が作れなくもない。
エンドロール後に少しストーリーが続くが、アンヘラが無事生き延びたことを示すだけ。何がワールドエンドなのか？

ちょっと期待のハードルを上げすぎたか・・・。
待つからパート5を作ってきちんと話を終わらせてほしい。

●関連作品・記事
『REC／レック』
『REC／レック2』
『REC／レック3　ジェネシス』

【MARKING】
オススメ度：★★★★★★6
えげつない度：★★★★★5
タンクトップは健在度：★★★★★★★★8
禍々しい度：★★★★★5

【INFORMATION】
・原題：[REC] 4: APOCALIPSIS
・製作年：2014年
・製作国：スペイン
・監督：ジャウマ・バラゲロ
・製作：フリオ・フェルナンデス
・脚本：ジャウマ・バラゲロ、マヌ・ディエス
・出演：マヌエラ・ベラスコ、パコ・マンサネド、エクトル・コロメ、イスマエル・フリッチ、マリアーノ・ベナンシオ、マリア・アルフォンサ・ロッソ

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『エルム街の悪夢』『スクリーム』のウェス・クレイヴン監督が30日、脳腫瘍のため死去されたそうです。享年76。
ご冥福をお祈りします。


●ウェス・クレイヴン関連作品
鮮血の美学 　（監督/脚本）
エルム街の悪夢 　（監督/脚本）
エルム街の悪夢3　惨劇の館 　（脚本/制作総指揮）
エルム街の悪夢　ザ・リアルナイトメア　（監督/脚本/出演/製作総指揮）
スクリーム　（カメオ出演/監督）
フレディVSジェイソン 　（キャラクター創造）
The FEAST／ザ・フィースト 　（制作総指揮）
ヒルズ・ハブ・アイズ 　（オリジナル脚本/製作）
ヒルズ・ハブ・アイズ2　（キャラクター創造/脚本/製作）
ダイアリー・オブ・ザ・デッド　（声の出演）

『エルム街の悪夢』のフレディに続いてウェス・クレイヴン生み出した殺人キャラ、ピンカー。身体が電気と化し、神出鬼没に現れて人々を惨殺していく恐怖を描く。

【STORY】
大学生のジョナサンは、連続殺人鬼によって家族やガールフレンドを惨殺されるが、彼の予知夢によってテレビ修理屋のピンカーが犯人として逮捕される。ピンカーは死刑執行されるが、電気椅子のスイッチを入れた途端彼の身体が消えてしまう…。

【REVIEW】
先日、脳腫瘍のため死去したウェス・クレイヴン監督に哀悼の意を表しつつ、この作品を紹介しよう。
製作年としては『エルム街の悪夢』の5年後、『ゾンビ伝説』の1年後である。

大学生でアメフトのスター選手ジョナサン。彼が住む街では、最近連続殺人事件が起きており、9ヶ月も犯人が捕まらないという状況である。
アメフトの練習中（ポジションはたぶんWR）に頭を打ったジョナサンは、それ以来不思議な夢を見るようになる。
その夢とは、自分の実家に殺人鬼が侵入し、家族を惨殺するというものだった。そして実家の前には、テレビ修理屋ピンカーのトラックが停まっていた。
ジョナサンが目覚めた直後、父親から連絡が入る。夢に見た通り、家族は惨殺されていた。「夢だけど、夢じゃなかった！」というトトロばりの状況（『エルム街の悪夢』レビューでも同じ表現をしたが）。急いで実家に向かうジョナサン。現場には父親の姿。どうやら父親は刑事のようである。殺されたのは母と養子2人。ジョナサンも、子どもの頃に実の父親から虐待を受けてこの家の養子になったらしい。

その後、あれよあれよという間に被害者は30人。
ジョナサンは父親に夢の話と犯人を伝える。半信半疑の父親もジョナサンの真剣な訴えに捜査をしてみることに。ジョナサンも同行。
警察一行が向かったのはピンカーのテレビ修理場。数名が中へ侵入。しかし、隠し部屋などの複雑な間取りを利用してピンキーが警官1名を惨殺。制服を奪って外へ。変装して油断させ、外の警官3名を惨殺して車で逃走。非常に殺り慣れている。ジョナサンと刑事の父はまんまと出し抜かれるのであった。

しかし犯人は確定したので指名手配へ。ニュースでは、ご丁寧に刑事の息子ジョナサンの夢が決め手であったことと、今度の土曜にアメフトの試合に出場することを伝えるのである。あーあ。
ちなみに殺人鬼ピンカー役は、『Xファイル』のスキナー副長官役でおなじみのミッチ・ピレッジである。

ピンカーは、まずジョナサンの住居を突き止め恋人アリソンを惨殺。本当に1人の人間が殺されただけなのかと思うほどの血の量である。鏡には「ハッピー・バースデー ピンカーより」。この日は恋人アリソンの誕生日であった。
怒りのジョナサン、ピンカーを探すことに。友人に協力してもらい、夢を見た直後に起こしてもらい次の殺害現場を特定してそこへ向かう。ジョナサンの動きを追跡していた父率いる警察一行も現場へ。
すったもんだの末、ピンカー確保。死刑。

死刑執行の日にはジョナサンや刑事の父親も立ち会うことに。係官が拘置所？にピンカーを迎えに行くと、檻の中のピンカーはテレビと自分の身体をコードでつなぎ、何やら怪しげな儀式をしている。電気を自分の身体に送り込んでいるようだ。そしてテレビに向かって「俺に力を与えろ」と訴える。するとテレビの中の何かは「承知したぜ」と答えるのである！

その後、電気椅子で死刑執行へ。最後に言い残す言葉を振られると、ピンカーがとんでもないカミングアウト。ジョナサンは自分の息子で、ピンカーが妻を殺そうとしていたところをジョナサンが銃を奪ってピンカーの足を撃ったらしい。これまでのシーンで確かにピンカーは片足を引きずっていた。
そして電気椅子スイッチオン。しかし先ほど儀式が功を奏したか、ピンカーの姿が突如として消える。
このゴタゴタで、電気椅子の具合を確かめようとして感電負傷した女医がパトカーで病院へ運ばれる。しかし女医は豹変し、同乗の警察官1名を惨殺。迷走したパトカーはタンクローリーに衝突炎上。何とか生き残った別の警官が病院へ運ばれる。不自然な事故に、ピンカーがまだ生きていることを確信するジョナサンであった。

その夜、ジョナサンの枕元に立ったのは、殺された恋人アリソン。アリソンは誕生日にプレゼントされたネックレスをジョナサンに渡す。ピンカーはこのネックレスには近づけないとのこと。なぜ？
一方、病院に運び込まれた警官は速やかに病院を脱走。ジョナサンの元へ。翌朝ジョナサンの家をノックする。不審に思ったジョナサン、扉を開けないでおくと警官が銃をぶっ放す。ジョナサン裏口から外へ。追いかける警官は足を引きずっている。ピンカーか？　いや、ピンカーだ。
今後この足を引きずる行為が、ピンカーが乗り移った証として効果的に表現されるのである。

追いかけながら銃を撃ちまくる警官、突如苦しみ出す。時間切れ？　近くのジョギングランナーを撃ち、身体を乗り換える。そしてつぎは女の子へ。女の子はなぜか停めてあったブルドーザーでジョナサンを襲う。この女の子、殺人鬼風演技がとても良い。その後も何回か身体を乗り換えるピンカー。
このゴタゴタのなか、最後に力を発揮するだろうと思われた例のネックレスは、ピンカーによって湖の底へと放り捨てられている。
これはかなわんと、ジョナサンはネックレスを探そうと家まで潜水具を取りに帰る。しかしそこにはピンカーが乗り移ったアメフトコーチ。唐突に恋人アリソンの幽霊も登場。アメフトコーチを説得すると苦しみ出す。そしてコーチの人格が出てきたところで自らの身体をナイフでひと刺しする捨て身の攻撃。
ピンカーはコーチの身体から抜け出すが、恋人アリソンの幽霊が何やらビームのようなものを出し、ピンカー倒れる。幽霊強し。
しかしピンカーは近くのコンセントに指を突っ込み吸い込まれて逃げる。さすが電気の身体。
ここで刑事の父親が家に押し入る。コーチなどの死体を見て、ジョナサンが犯人だと勘違い。逮捕されてしまうというお約束である。
しかし少し前にランプか何かに感電していた父親。足を引きずっている。変形版「志村、後ろ！」の法則である。
隙を突いて逃げるジョナサン。追いかける父親inピンカー。いつの間にか2人はテレビ局の電波塔の上へ。揉み合い、落ちそうになる父親inピンカー。しかし電波塔の電波を吸収したようで、強力なパワーを得て父親の身体から抜け出して飛んでいくピンカー。テレビの電波に姿を変えたようである。
この出来事で父親からの誤解は解けた模様。

だがしかし、その後も殺人は続く。犯人の侵入経路は不明で、家でテレビを見ていたら殺されたというニュース。
ピンカーを倒さないとどうにもならない状況で、ジョナサンは最終バトルを決意。実家にテレビ局を呼んで、生放送の準備をさせる。
現れたピンカーを追いかけてテレビの中へ入るジョナサン。ここからのバトルは非常におもしろい。
テレビ番組のなかでバトルを繰り広げる2人。歌番組や戦争映像、事故映像、ホラー映画のなかで、テレビの中の登場人物と絡みながら闘う。クレイヴンのセンスが光るシーンである。時にはテレビから飛び出して他人の家のリビングでバトルというコミカルなシーンも。そして最後にテレビから飛び出した先はテレビ局をスタンバイさせていた実家の部屋。ここでの最終バトルを制したジョナサン、自分の家へ戻るためにテレビカメラのレンズの中へ飛び込む。どちらが現実でどちらが仮想空間かよくわからないが、どうやらジョナサンの家がゴール地点のようである。
ピンカーも慌ててテレビカメラのレンズへ飛び込もうとする。しかし、ここで突如停電。予めジョナサンが友人に発電所の設備を破壊するよう頼んでいたのであった。街中が停電。ピンカー戻れず、電力も失いアウト。おしまい。

いつの間にかジョナサンの元へネックレスは戻っていたが、結局なぜピンカーに対して効き目があるのかが不明。それがとても気になった。

電気版『エルム街の悪夢』といった感じだが、なかなかテンポが良く楽しめた。

最後に、1箇所だけピンカーを間違えてピンキーと表記してしまったが、おもしろいのでそのままにしておこう。

そして、ウェス・クレイヴン監督、改めてご冥福をお祈りします。


●ウェス・クレイヴン関連作品
鮮血の美学 　（監督/脚本）
エルム街の悪夢 　（監督/脚本）
エルム街の悪夢3　惨劇の館 　（脚本/制作総指揮）
エルム街の悪夢　ザ・リアルナイトメア　（監督/脚本/出演/製作総指揮）
スクリーム　（カメオ出演/監督）
フレディVSジェイソン 　（キャラクター創造）
The FEAST／ザ・フィースト 　（制作総指揮）
ヒルズ・ハブ・アイズ 　（オリジナル脚本/製作）
ヒルズ・ハブ・アイズ2　（キャラクター創造/脚本/製作）
ダイアリー・オブ・ザ・デッド　（声の出演）


【MARKING】
オススメ度：★★★★★5
えげつない度：★★★3
恋人が一番強い度：★★★★★★6
禍々しい度：★★★★★★6

【INFORMATION】
・原題：SHOCKER
・製作年：1989年
・製作国：アメリカ
・監督：ウェス・クレイヴン
・製作総指揮：シェップ・ゴードン、ウェス・クレイヴン
・製作：マリアンヌ・マッダレーナ、スチュアート・M・ベッサー
・脚本：ウェス・クレイヴン
・出演：マイケル・マーフィ、ミッチ・ピレッジ、ジョン・テッシュ、ヘザー・ランゲンカンプ、ピーター・バーグ、ジェシカ・クレイヴン、カミ・クーパー、リチャード・ブルックス、サム・スカーバー、テッド・ライミ

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イタリアの人気コミック「Dellamorte Dellamore」を映画化。ホラー映画ファンの間で絶賛されるイタリアン・ゾンビの隠れた傑作。監督は『アクエリアス』『デモンズ3』のミケーレ・ソアヴィ。

【STORY】
死者が7日後に甦るという墓地で管理人を務める孤独な青年フランチェスコ・デラモルテと助手のナギ。毎晩のように甦った死体＝リターナーの処分に追われていた。ある日フランチェスコは、埋葬される遺体の付き添いで訪れた美女に心奪われるが・・・。

【REVIEW】
先日、待望のHDリマスター版が発売されたのでこの作品を紹介しよう。
ホラー映画不遇の時代といわれた90年代に製作されたが、今もなおホラー映画ファンの間で傑作と称される作品である。
ご存じの方も多いと思うがタイトルの『デモンズ’95』は、かの名作『デモンズ』とは何らつながりのないもので、タイトルと当時のゲテモノ感のあるパッケージで損をしてしまった作品ともいえる。
『デモンズ』は正式にはパート2までであるが、その後『デモンズ3』、『デモンズ4』、『デモンズ5』、『デモンズ6／最終戦争』、『新デモンズ』、『デモンズ2001』、『デモンズ2002』などと、その冠をムリヤリ付けられてしまった作品は数知れず。
とはいえ、監督のミケーレ・ソアヴィ。彼は『デモンズ』において、原案・脚本・製作を担当した巨匠ダリオ・アルジェントの一番弟子と称される人物であり、彼自身も『デモンズ』で冒頭のチケットを配る仮面の男を演じている。
そのうえ、上記のムリヤリ作品の中では『デモンズ3』で監督、『デモンズ4』で監督・脚本・出演、『デモンズ5』『デモンズ6／最終戦争』で主演を務めており、『デモンズ』とストーリーのつながりこそないが、まったく関係がないかというとそうでもないややこしい状況である。

イタリアの人里離れたブファロラ墓地。ここでは埋葬された死人が7日後に甦るという奇妙な現象が起こっていた。甦った死人はゾンビではなく、リターナーと呼ばれている。
住み込みで管理人をしている青年フランチェスコとデブで言葉を話さない助手のナギ。彼らは墓地の管理の一貫として、リターナーたちを再び葬る仕事を担っている。ゾンビと同じく銃や鈍器などで頭部を破壊すると倒せるらしい。

ある日、墓地に運ばれてきた新たな棺桶。埋葬するために同行した関係者の中に美女。フランチェスコは心奪われる。後日、この美女は再び墓地を訪れ墓石に花を手向ける。墓石の写真はすごいジジイ。フランチェスコは美女の父親だと思いお悔やみの言葉を述べるが、夫であると激怒されるのであった。
彼女はその後も墓地へやってくるが、絡んでくるフランチェスコを完全無視。しかし、この墓地には納骨堂があると話したとたん美女は豹変。とても殺し文句になったとは思えないが、功を奏したようで二人は納骨堂へ。
美女興奮。骸骨などをうっとりと見つめながら、私の理想などと言っている。アブノーマルな展開。二人はついに夫の墓の上で深い仲に。隠し事はしないらしい。

これに触発されたのか、夫がリターナーとして復活。美女噛みつかれる。直後、夫は墓標で頭をやられてアウト。
フランチェスコは美女を納骨堂へ運び込む。ここへハエが一匹飛んできて美女に止まる留まるが、デジタルリマスター版で観ると、てぐす（糸）が思いっきり見えている。その後、美女はリターナーとして復活し、やむなく銃殺。フランチェスコ凹む。

またある日、ボーイスカウト一行が乗ったバスとこの町の町長の娘とその恋人が乗ったバイクが大事故。多数の死者が墓地へやってくる。そして当然、まとめてリターナーへ。
中でも注目なのは、町長の娘の恋人。運転していたバイクに絡まって死んだのか、バイクごと埋葬されたようで、バイクに乗りながら復活する。風貌も片眼がテールランプ？だったりしてメカニカルでかっこいい。

一方、どうやらロリコンだったらしい助手のナギ。町長の娘（子ども）に恋していたらしい。娘が埋葬された墓を掘り起こすナギ。娘は事故で首を切断されており、ムリヤリ死体を引っ張り出したために首だけに。そして首だけのリターナーに。ちなみにこの作品におけるリターナーは言葉を話す。ナギは娘（首だけ）を持ち帰るのである。

一方、フランチェスコ。墓地の見回り中にリターナー状態の美女に遭遇。なかなか映像的にかっこいい登場シーン。だがしかし、再び葬ったはずなのになぜ。しかし愛を育もうとしたために美女に噛まれてしまうのである。どうやら美女はリターナーの夫に噛まれたときはまだ死んでおらず、気を失って目覚めたのをリターナーになったと勘違いして撃ってしまったようだ。すなわち生きていた美女を誤って銃殺し、今回正式にリターナーとなったのである。フランチェスコは、愛する美女を撃ちたくない本心で目を閉じていたために頭を外れていたようである。

噛まれたフランチェスコ。主役だからまだ死なない。しかし、噛まれてからというもの、現実と空想の区別が付かない精神状態に。
ある日、墓地での作業中に石像が姿を変えた死神が現れる。フランチェスコはその死神に「死者は我々のものだから、生者を殺せ！」と怒られるのであった。
怒られたフランチェスコは町へ繰り出し、日頃彼を墓堀人とバカにする若者たちに向けて銃を乱射し次々と殺害する。あーあ。

ほどなくして、フランチェスコのもとへ刑事がやってくる。万事休すか。しかし直後に町長もやってきて、死んだ娘の墓を掘り返すように命じる。どうやら遺体を撮影して選挙ポスターに掲載し、有権者の同情を買う下衆の極み作戦に打って出ようというのである。
しかし開けられた棺には首がない。先日ナギが持ち去ったからである。すると、どこからか娘の声。町長は声のもとへ。そこはナギの部屋で、首だけなのに話す娘の姿が。娘はナギと結婚したいと言うが、町長は認めず。それに激怒した娘は町長に噛みつく。町長アウト。このゴタゴタで、なぜかフランチェスコは刑事からの追求を免れる。

町長が死亡したため、新しい町長が墓地にやってきた。同行してきた秘書は驚くべきことに先日の美女に瓜二つ。二人は恋に落ちるが、その後、美女2号は町長とデキていたことが発覚。結婚の約束までして、男性恐怖症の美女2号のために性器を除去（結果失敗）までしようとしたのに。
失意のフランチェスコ、町の酒場でやけ酒。そこへ逆ナンしてきた女性。これまた先日の美女に瓜二つ。再び美女3号と結ばれたフランチェスコだったが、しかし美女3号は娼婦だったことが発覚。ショックのフランチェスコは、美女3号の家に火を放って殺害してしまうのであった。
その後もフランチェスコは病院で医師や看護師を惨殺するが、刑事からはなんのお咎めもなし。なんかおかしい。

生者も死者も殺しても、誰からも関心を持たれない。生者の世界からも死者の世界からも見放されたフランチェスコ。
生きることに絶望したフランチェスコは、すべてを捨ててナギとともにどこか遠くへ行くことに。車を走らせ町境のトンネルを抜けるが、その先にあったのは断崖絶壁。外の世界はない。フランチェスコは、今の世界から抜け出せないのか。
断崖絶壁に気づいて急ブレーキを踏んだため、頭を強打したナギ。死んでしまったと思ったフランチェスコはナギに銃口を向けるが撃てない。ナギを失えばフランチェスコには何も無くなってしまうのである。
しかしナギは生きていた。身体を起こし「家に帰ろう」と告げる。
シュールなラストで悲劇的ではあるが、この一言が救いとなっている。
はたしてフランチェスコとナギの運命は・・・。

最後はこの断崖絶壁のシーンのスノーボールが映し出される。閉ざされた世界の象徴か。しかしこのスノーボールは、すでにオープニングで映し出されていたのであった。おしまい。

生と死、現実と悪夢、精神と肉体、他人と自分、愛と罪。
不条理な世界でさまざまな葛藤に苦しむフランチェスコの心理描写が作品全体の幻想的な映像と相まって独特の雰囲気を醸し出している。リターナーとなった美女や死神の登場シーンなど芸術的な映像美は見事。文学的であり、哲学的であり、唯一無二の世界観である。たぶん。

ホラーファンだけでなく、あらゆる人に観てほしい作品である。

●関連作品・記事
『デモンズ』
『デモンズ2』

【MARKING】
オススメ度：★★★★★★★★★9
えげつない度：★★★★4
ナギしゃべれたのか度：★★★★★★6
禍々しい度：★★★★★★★★8

【INFORMATION】
・原題：SHOCKER
・製作年：1994年
・製作国：イタリア／フランス
・監督：ミケーレ・ソアヴィ
・製作：ティルデ・コルシ、ジャンニ・ロモーリ、ミケーレ・ソアヴィ
・脚本：ジャンニ・ロモーリ
・原作：ティツィアーノ・スクラヴィ
・出演：ルパート・エヴェレット、フランソワ・ハジー・ラザロ、アンナ・ファルチ

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