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コリン LOVE OF THE DEAD

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製作費をほとんど掛けずに撮った自主製作作品ながら、ゾンビを主人公にするという発想と完成度の高さが評判となり話題を集めたイギリスのゾンビ作品。

【STORY】
死者が蘇りゾンビとなって徘徊するロンドン。青年コリンもゾンビに噛まれてしまい、やがて意識を失い、そして命を落とすが再び甦る。コリンは朦朧とした意識の中、ふらふらとロンドンの街へ。わずかに残った生前の記憶を頼りに、コリンはある場所へ向かうが…。

【REVIEW】
スタッフ・キャストを有志で賄い、わずか45ポンドという低予算で製作されたことが話題となり、それにしては完成度が高いと注目された作品。
ちなみに45ポンドは、この記事のアップ時点で日本円にして5578.05384円である。
ゾンビ自身が主人公でゾンビの視点から描くという比較的珍しい手法。動きの襲いゾンビが主人公だけに淡々としたペースで物語は進む。
大群のイメージがあるゾンビだが、ゾンビ一人ひとりにドラマがあるわけで、その1人にスポットを当てると、かくも儚いゾンビ映画ができてしまうのである。

何らかの事情でゾンビが徘徊することになった世界。
この「何らかの事情」というアバウトな導入が、ゾンビファンには微笑ましい部分であり、それ以外の人にとってはイラッとする部分である。

主人公の青年コリンは慌てた様子で家に帰ってくる。どうやら腕をゾンビに噛まれたようだ。ウイルス的な何かが血液を通して全身を巡っているようで、苦しむコリン。
やがて意識を失い、そして甦る。
そして、ふらふらと立ち上がり、ロンドンの街へ。

街ではゾンビたちが人間を襲っている。人間たちもゾンビを覆っている。地獄絵巻。
コリンはゾンビに襲われない。どうやらゾンビになってしまったらしい。
そのかわり、人間に襲われる。窃盗団みたいな連中。コリンのスニーカーを狙っているようだ。ちなみにそのスニーカーはエアマックス’95ではないようだ。
だがそこへ助けに入る1人の女性。コリンの姉である。窃盗団を蹴散らしたが、コリンは姉を噛んでしまうのである。あぁ無情。

さまよい続けるコリン。ゾンビになりたての新米だからか、なかなか食べ物(人間)にありつけず苦労するコリン。ゾンビの世界も大変だなぁ。

ところがいきなり頭に布袋をかぶせられ、連れいて行かれるコリン。やられたい放題。
しかし、連れて行かれたのは姉の家だった。姉はコリンに私を憶えているかとか、写真を見せたりして過去の記憶を呼び覚まそうとする。しかし効果なし。
姉は実家に連れて行き、母親に会わせれば思い出すと考えるのである。

再び布袋をかぶせられ、連れて行かれるコリン。この布袋の中の様子を映し出すシーンはなかなかおもしろい。不安げなコリンの表情がいい。
実家に着いて母親に会わせるがまったく効果なし。
そうこうしているうちに、コリンに噛まれていた姉もゾンビになってしまう。

コリンと姉をキッチンに残し、実家を離れる家族たち。母親がキッチンの窓を外側から新聞紙でふさぐシーンはとても印象的である。
コリンに対する憐れみと姉を噛んだ怒りと、しかし当然抱く愛情とが入り交じった表情が実に切ない。

実家のキッチンを抜け出し、再び街へ出るコリン。今度はゾンビハンターの一行に襲われる。リーダー格の男の武器はなぜかパチンコ(Y字の木にゴムが付いたやつ)。しかしこれがなかなかの破壊力。ここでコリンは結構痛めつけられる。しかしそこはゾンビ。立ち上がり、再び歩き始めるのである。
ここではゾンビハンターの数人が噛まれ、他のメンバーに処刑されるシーンがとても印象的。本当に怖いのは人間であるという、ロメロ作品に通じるシーン。

歩き続けるコリン。どうやら人間としての意識はないようだが、生前の記憶を頼りに無意識にある場所へ向かっているようだ。
これまた無意識にショッピングセンターに集まってくるロメロ作品の中のゾンビに通じるシーンである。

コリンがたどり着いたのは恋人の家。
ここで場面は過去の回想シーンへ。物語が始まる少し前。恋人の元を訪れるコリン。恋人は風呂場にゾンビを閉じ込めたらしい。そのゾンビを仕留めようとするが恋人が噛まれる。しかしコリンは、ずっと恋人に寄り添うのである。
だがしかし、ゾンビとなった恋人はコリンの腕を噛んでしまう。

そう。
コリンもまた、愛する人を想うがゆえに噛まれてしまったのである。

家へと帰って行くコリン。この後から冒頭のシーンが始まるのである。
コリンは最後に恋人の家でこのシーンを思い出したようだ。おしまい。

1人の人間がゾンビとなる過程の描写がとても興味深い。
ウイルス的な何かに全身が犯され、薄れゆく意識の中で人間としての理性を失っていく恐怖と戦っている姿は非常に心が痛む。
だがしかし、ウイルス的な何かには勝てず、人間としての理性を失い、ゾンビと化し、愛する人さえも傷つけてしまう。

一方、ゾンビに対して恐怖や怒りを持ったとしても、愛していたその人が目の前でゾンビになってしまったときには、その人を救おうとゾンビに近づき犠牲になってしまうのである。

人間が自らの「愛」が原因でゾンビの餌食になる。
ゾンビの最大の武器は「愛」なのである。たぶん。
LOVE OF THE DEAD.


【MARKING】
オススメ度:★★★★★★★★8
えげつない度:★★★★★5
最初のダミアンとコリンの関係は?度:★★★★★★★★8
禍々しい度:★★★★★★★7

【INFORMATION】
・原題:COLIN
・製作年:2008年
・製作国:イギリス
・監督:マーク・プライス
・製作:マーク・プライス
・制作総指揮:ジャスティン・ヘイルズ
・脚本:マーク・プライス
・出演:アラステア・カートン、デイジー・エイトケンス、リアンヌ・ペイメン、ケイト・オルダマン

$KURI of the DEAD-colon
























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